海外で大人気だった日本産のロボットアニメを紹介したいと思います。
ロボットアニメといえば日本では70年代から90年代にかけて数多くの作品が登場しましたが、海外でも多数放送されており支持を集めています。また日本ではマイナーな作品が海外では大人気になったケースもいくつか存在しています。
今回は海外で特に人気だったロボットアニメを中心に、それぞれの特徴や背景などをまとめてみました。
海外で大人気のロボットアニメ
UFOロボ グレンダイザー
出典元:gyao.yahoo.co.jp
放送時期:(日本 1975年、フランス 1978年)
「マジンガーZ」「グレートマジンガー」に次ぐマジンガーシリーズの第3作。
当初は過去2作品と世界観を共有する「ゴッドマジンガー」という名前で立案されたものの、当時日本で巻き起こった”空飛ぶ円盤ブーム”に乗ろうとしてネーミングが変更された。
グレートマジンガーよりも強力なマジンガーが登場する予定だったが、本作ではUFOをモチーフにしたメカが登場する。
スーパーロボットの火付け役でもあるマジンガーシリーズだったが、国内ではシリーズ3作目という事もあり日本では少々飽きられてきた頃だった。
海外では「フランス」「イタリア」「イラク」「アラブ諸国」「アメリカ」で放送されており、特にフランスでは子供のみの集計やテレビ局が限られていたという事もあって高視聴率を叩き出したものの、平均視聴率75%、最高視聴率100%を記録している。
イタリアにおいても最高視聴率が80%以上を記録し、イラクに至っては放送時間になると街中から子供達がいなくなるという現象が起こったと言う。
放送前に劇場公開された総集編の主題歌は135万枚の売り上げを記録するなど大ブームとなった。
なお、フランスではGoldorak (ゴルドラック)、イタリアではAtlas Ufo Robot (アトラスUFOロボット)、アラブではMughamiratal-Fada:Grendizer (宇宙の冒険・グレンダイザー)の名前で呼ばれている。
超電磁マシーン ボルテスV
出典元:amazon.co.jp
放送時期:(日本 1977年、フィリピン 1978年)
前作「超電磁ロボ コンバトラーV」の続編であり、「長浜ロマンロボシリーズ」の第2作。
「マジンガーシリーズ」と同じく、ゲーム「スーパーロボット大戦」でも多数の作品で参戦している超電磁シリーズの一角である。
「ボルトマシン」と呼ばれる5機のメカが合体した巨大ロボでボアザン帝国と戦う。
日本ではドラマ性の高い作品のためか子供から大人まで人気だったが、合体メカの玩具の売れ行きが前作に比べて低調だった。
海外では世界各国で放送されていたが、フィリピンでは特に人気で最高視聴率は58%を記録した。国民の9割がオープニングテーマ曲を歌う事ができるという伝説も誕生している。
フィリピンではボルテスVの成功をきっかけに日本のロボットアニメが積極的に輸入されるという現象が起きている。
子供達には大人気だった本作だが、大人には不評な様で”劇中の道徳的なもの”、”子供が夢中になる余りグッズを欲しがったり、勉強をしなくなる”などの現象が起っている。
また劇中での表現方法が政治的な軋轢を生むとして抗議されており、最終話直前で放送禁止されている。
鋼鉄ジーグ
出典元:amazon.co.jp
放送時期:(日本 1975年、イタリア 1979年)
「超電磁マシーン ボルテスV」と同じく磁力を使った合体メカが登場する作品。
サイボーグと化した主人公が変形した頭部パーツと、体を構成する各種パーツが磁力で合体した巨大ロボットが古代日本を支配した邪悪な国家に立ち向かう。
日本では視聴率が低く国内ではマイナーな作品だったが、玩具だけは売れていた模様。
前年に放送された「宇宙戦艦ヤマト」にシリアス要素が加わり大人でも楽しめる様な作品が好まれる様になった時代に逆行する様に子供向けの作風になってしまったため人気は無かった。
イタリアでは人気の高いロボットアニメであり、日本語版のオープニングテーマはルノーのCMにも使用され、イタリア版でのオープニングはロック界の重鎮「ピエロ・ペルー」などがカバーしていた。
またイタリアでは2015年に本作からインスパイアされたSFアクション映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」が公開され大ヒット、イタリア版のアカデミー賞で7部門が受賞した。
海外で放送された日本風のロボットアニメ
戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー
放送時期:(日本 1985年、アメリカ 1984年)
アメリカ制作した日本風のロボットアニメ。脚本・絵コンテをアメリカで、アニメーションの制作は日本の企業が担当した。
先行して1984年にアメリカで放送、翌年の1985年に日本でも放送された。1980年代はリアルロボットアニメが人気だった事もあり、本作もその流れを受け継いだ形の作風となっている。
また演出やキャラクターデザインはアメリカ側が関わっているため、キャラの仕草はアメリカ風な仕上がりである。ちなみにアメリカの放送規制の影響で戦闘シーンなどでは一人も死者が出なかった。
日本では玩具が一時期「機動戦士Zガンダム」を上回るほどの人気を見せていたが、その後の「聖闘士星矢」の登場で人気を明け渡す形となっている。
本作を指揮したアニメーター・デザイナー「ネルソン・シン」によるとプロデューサー間で日本風のロボットアニメがアメリカの子供達に受け入れられるか懸念されていたと言う。
日本と海外が合作したロボットアニメ
重神機パンドーラ
出典元:bs11.jp/anime/ju-shinki-pandola/
放送時期:日本 2018年
人気ロボットアニメ「超時空要塞マクロス」の原作者である「河森正治」と親交があった中国のプロデューサー「孫晗」の企画によって立ち上げられた作品。
孫晗が所属する国際的なアニメーション事業を手がけている企業と日本のアニメ制作会社が連携して制作が行われた。
ロサンゼルスで行われた「Anime Expo 2016」では世界規模でリリースされる事が発表されている。
アニメの舞台は中国で次世代エネルギーの爆発によって世界中に特異進化物「B.R.A.I (ブライ)」が出現。
人類は絶対防衛都市と呼ばれる都市へ撤退を余儀なくされるも軍隊に加入した主人公は仲間と共にB.R.A.Iに立ち向かうというストーリー。
全体的に中国風な仕上がりとなっているが、メカデインに関しては河森氏の流れが大きく反映されたものになっている。
無限戦記ポトリス
出典元:sunrise-inc.co.jp
放送時期:日本・韓国 2003年
韓国で人気だったオンラインゲーム「ポトリス」をベースに制作されたアニメ。
バンダイがポトリスの日本運営を担当しており、バンダイの子会社であるサンライズが韓国の制作会社「同友アニメーション」と共同で制作した。
日本で先行放送、数ヶ月後に韓国でも放送された。また日本では2003年から2004年にかけてコミックボンボンに漫画連載されている。
放送終了後、韓国ではDVDが発売されているが、日本では発売されていない。
以下、あらすじ。
機械生命体が平和に暮らしているポトリス・プラネットに突如ダーク・ポトリスが出現。敵の本拠地であるバベルタワーに潜入するもダーク・ポトリスによって遥か彼方に飛ばされたポトリス・ナイツがポトリス・プラネットの平和を取り戻すため再度バベルタワーを目指して戦渦の道を行く。
日本のロボットアニメを統合した海外作品
ロボテック
出典元:amass.jp
放送時期:1985年
タツノコプロ制作の「超時空要塞マクロス」「超時空騎団サザンクロス」「機甲創世記モスピーダ」の3作品を統合し同一世界の異なる時代を描いた物語として再編集された作品で「ハーモニーゴールド USA社」がタツノコプロのライセンスを取得して作られた。
当時の米国のテレビ局では平日の帯番組で放送するには最低65話が必要とされていたが、1作品のみでは話数が足りない事から複数の作品を統合して制作された。
ストーリーは各作品の異星人がそれぞれの世代で神秘的な超エネルギー「プロトカルチャー」を求めて来襲、異星人を相手にそれぞれの世代で生きている人類が戦い抜くと言うもの。
日本産のアニメは1960年代からアメリカで輸入されてきたが、暴力や死、性的な描写など日本的なアニメ描写は削除されていたが、本作ではそういった日本的な描写は残され放送された。
超時空要塞マクロス編は「ロボテック:マクロス・サーガ」、超時空騎団サザンクロス編は「ロボテック:マスターズ」、機甲創世記モスピーダ編は「ロボテック:ニュー・ジェネレーション」というタイトルになっている。
米国内では全米ネットではなくローカル各局で放送され視聴率は良かったものの、高年齢層に人気だった事もあり玩具の売れ行きは良いものとは言えなかった。
ボルトロン
出典元:gizmodo.jp
放送時期:1984年
東映制作の「百獣王ゴライオン」と「機甲艦隊ダイラガーXV」を統合・再編集したロボットアニメ。アメリカでは社会現象を起こすほどの人気沸騰で最も有名なスーパーロボットとなっている。
第1シリーズとして百獣王ゴライオンを編集した「ライオンフォース・ボルトロン(全75話)」、第2シリーズとして機甲艦隊ダイラガーXVを編集した「ビークルチーム・ボルトロン(全52話)」が放送された。
ちなみに本作では米国内による規制のため暴力・死亡シーンはカットされている。
また2年後の1986年には東映にアニメーションに委託して制作された上記の2つのシリーズのTVスペシャル「Fleet of Doom」が放送、1998年にはライオンフォース・ボルトロンの5年後を描いたCGIアニメが放送されるなど現在に至るまで多数の関連作品が登場している。
制作背景として1984年に「ワールド・イベント・プロダクションズ」の社長が東映に訪問し動物好きが多い米国の子供達に受けるだろうと言う理由で「百獣王ゴライオン」に目を付けた。
当時の東映はフラット契約しか認めていなかった事もあり、最終的には「機甲艦隊ダイラガーXV」と「光速電神アルベガス」のライセンスも購入するに至ったとされている。
海外で人気だった日本のロボットアニメの感想
海外で大人気を博した日本産のロボットアニメを紹介しました。
「楽しいムーミン一家」や「世界名作劇場」など海外の原作を日本風にしたアニメは数多くありますが、改めて見てみると海外には日本のアニメが多く輸入されている事が分かりました。
特に日本はロボットアニメ大国みたいな所があり70年代のスーパーロボット、80年代のリアルロボット、そしてこれらの流れを受け継いだ上で登場人物のキャラクター性を重視した90年代以降の作品などこれまでにも多数の人気作品が登場しました。
ですがこうして見てみると日本で人気だったロボットアニメが必ずしも海外でヒットする訳でもなく、日本ではマイナーだった作品が海外では大ヒットする事もあるという事が分かりました。
個人的に日本人はガンダムやマクロスの様なシリアス要素の多い作品が好きな傾向があると思っていますが日本人と海外の人の感性・美学は違うと思うので、ハッピーエンドの作品が多い海外の場合だと日本のアニメに対する受け取り方が変わってくるという事なのかも知れません。