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日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた

日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた

日本のロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみたいと思います。

ロボットアニメといえば70年代、80年代に爆発的な人気を博し多くの魅力的な作品が登場しましたが、一口にロボットアニメと言っても各時代ごとに違った潮流が見られます。

今回は各年代を代表するアニメを中心にロボットアニメの歴史と追っていきたいと思います。

ロボットアニメの歴史まとめ

ロボットアニメの黎明期から現在までの歴史を辿っていきたいと思います。

 1960年代以前のロボットアニメ (黎明期)

1960年代以前-(黎明期) / 日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた
日本で初めて誕生したロボットアニメは1963年にアニメ化された手塚治虫が原作の「鉄腕アトム」で、この頃はまだカラーは普及しておらずモノクロのアニメが普通。

ロボットアニメで連想されがちな「巨大ロボット」ではなく、感情を持つ人間サイズのロボットだった。

21世紀を舞台に原子力を動力源とする人間の感情を持ったロボットが活躍する物語で、本作を見た子供たちはロボット工学者を目指したとも言われている。

ロボットと人間の対立・差別がテーマとして描かれており、70年代以降の作品に多く見られる様な兵器としてのロボットという観点とは違うという事にも注目である。

また日本で初めて30分枠の連続テレビアニメでもあり、国内のアニメ史上において多大な影響を与えた作品と言えるだろう。

巨大ロボットアニメの先駆け

巨大ロボットアニメの先駆け / 日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた
鉄腕アトムに続く形で登場したのが横山光輝が原作の「鉄人28号」である。

本作は日本のロボットアニメ史における巨大ロボットアニメの先駆けとなった作品である。

元々は悪のロボットで短期連載の予定だったが、ファンの要望や人気に押される形で正義の味方に変更されたという逸話がある。

ただ、鉄人28号は巨大ロボットであるが、リモコンで動くという設定であったため現在までに広く出回っているロボットアニメの様に「人が搭乗」して動かすというものではない。

アトムとの最大の違いは「兵器としてのロボット」であり、操縦する者によって良し悪しが決まるという作風は後のロボットアニメに大きな影響を与えている。

ちなみにこの時期には「マグマ大使」や「ジャイアントロボ」という巨大ロボットが登場する漫画も登場しているが、いずれも映像化されたのは90年代になってからである。

1960年代のロボットアニメ
1963年鉄腕アトム
鉄人28号

 

 1970年代のロボットアニメ (スーパーロボットの躍進)

1970年代-(スーパーロボットの躍進) / 日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた
ロボットアニメが一大ブームとなったのは1970年代で、この時期には「スーパーロボット」というカテゴリーが登場した。

各作品において玩具のスポンサーが付いた事で、子供たちの間でロボットのおもちゃが流行したのもこの時代である。

ロボットの大きさは作品の設定により変わってくるが、100m級のロボットも登場する事が珍しくなかった。

また、巨大ロボットにコクピットという概念が生まれ、主人公が搭乗して戦うというスタイルはこの時代から生まれている。

1972年に登場した「マジンガーZ」は巨大ロボが悪の組織に立ち向かい倒すというもので、必殺技を使用する時に技の名前を呼称するのはスーパーロボットの定番となっている。

1974年には「変形・合体」というアイデアを取り入れた「ゲッターロボ」も登場。これ以降は数多くの作品で合体・変形を取り入れたロボットアニメが登場する事になっていく。

ドラマ性を追求した作品と新たな時代への幕開け

ドラマ性を追求した作品と新たな時代への幕開け / 日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた
1976年の「超電磁ロボ コン・バトラーV」、1977年の「超電磁マシーン ボルテスV」に至っては、地球人と異星人の対立を描きそれぞれに正義があるというドラマ性に重点を置いた作品も登場した。

いずれも「長浜忠夫」が手掛けており、彼が携わった一連の作品は「長浜ロマンロボシリーズ」と呼ばれている。

彼の元で制作に携わったをした「富野由悠季」は、その演出方法を見てかなりの影響を受けたと語っている。

富野由悠季はその後「無敵超人ザンボット3」「無敵鋼人ダイターン3」の制作に携わり、1979年には「機動戦士ガンダム」が登場。

宇宙を生活拠点にしている「スペースノイド」が地球側と対立し、戦争へ発展するという人間同士の争いを描いた物語となっている。

リアル性への追求から登場兵器も「モビルスーツ」と呼ばれる20m未満の大きさの人形ロボットが登場するなど、80年代のリアルロボットブームの火付け役となった。

1970年代を代表するロボットアニメ
1972年マジンガーZ
1974年グレートマジンガー
1975年勇者ライディーン
ゲッターロボG
鋼鉄ジーグ
UFOロボ グレンダイザー
1976年超電磁ロボ コンバトラーV
大空魔竜ガイキング
1977年超電磁マシーン ボルテスV
無敵超人ザンボット3
1978年闘将ダイモス
無敵鋼人ダイターン3
1979年機動戦士ガンダム

 

 1980年代のロボットアニメ (リアルロボット全盛期)

1980年代のロボットアニメ-(リアルロボットの全盛期) / 日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた
「機動戦士ガンダム」ではリアル性を追求した兵器の登場。また「ニュータイプと人類の革新」という抽象的なテーマの追求など、より複雑化した世界観を構築。

80年代以降は政治や軍事、SF理論・物理学・機械工学などに準拠している現実世界を重視した設定が盛り込まれた作品が多く登場する。

また物語の構成も1970年代には比較的ハッピーエンドの作品が多かったが、80年代になると「伝説巨神イデオン」「聖戦士ダンバイン」「機動戦士Zガンダム」の様にラストが壮絶でバッドエンドになってしまう作品も登場。中には主人公が死亡するアニメも存在している。

リアルロボットと多様な方向性

リアルロボットと多様な方向性 / 日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた
「超時空要塞マクロス」では「バルキリー」という可変戦闘機や「マクロス」といった大多数の民間人を収容できる移民船の登場、さらには「歌」によって異星人との共生の道を模索するなどの要素が盛り込まれた。

「聖戦士ダンバイン」ではファンタジー要素が盛り込まれ、現実世界の主人公が「バイストンウェル」という中世のヨーロッパに似た異世界へ行き「オーラバトラー」という昆虫をモチーフにしたかの様な小型兵器を駆使して戦う作品も登場するなど、様々な方向性へ分化された。

1980年代後半以降には「機動戦士ガンダ」の続編にあたる、「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」などが登場。

テレビアニメ以外にも映画やOVAなどで映像化されシリーズ化、これらの作品は「ガンダムシリーズ」と呼ばれ、以降はロボットアニメの金字塔として不動の人気を誇ることになった。

 

1980年代を代表するロボットアニメ
1980年無敵ロボ トライダーG7
伝説巨神イデオン
1981年戦国魔神ゴーショーグン
太陽の牙ダグラム
1982年戦闘メカ ザブングル
超時空要塞マクロス
1983年聖戦士ダンバイン
装甲騎兵ボトムズ
銀河漂流バイファム
1984年重戦機エルガイム
超時空騎団サザンクロス
1985年機動戦士Zガンダム
超獣機神ダンクーガ
蒼き流星SPTレイズナー
1986年機動戦士ガンダムZZ
1987年 機甲戦記ドラグナー
1988年機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
トップをねらえ!
魔神英雄伝ワタル
1989年機動警察パトレイバー
機動戦士ガンダム 0080ポケットの中の戦争

 

 1990年代のロボットアニメ (新たな潮流)

1990年代のロボットアニメ(新たな潮流) / 日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた
90年代に入っても相変わらず玩具業界のスポンサーが付く事が多く、作風も80年代後半のスタイルが受け継がれていく中で「マクロスプラス」「マクロス7」の様にセル画と3DCGを併用したアニメも登場。

また、「勇者シリーズ」「エルドランシリーズ」などの低年齢層向けのロボットアニメも制作された。

1994年からはこれまでのガンダムシリーズとは違った世界観を持った「平成ガンダムシリーズ」が立て続けに放送される。

「新機動戦記ガンダムW」に至っては5人の美少年キャラを筆頭にした物語が構成され、特に女性ファンには受けが良く新たな視聴者層を獲得した。

だが、90年代後半にはポケモンショックや少年犯罪による自主規制により従来のアニメ枠はバラエティへ移行。こうした背景もありロボットアニメ自体も社会情勢の変化の煽りを受ける事になっていく。

キャラクター性重視の世界へ

キャラクター性重視の世界へ / 日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた
1995年には「新世紀エヴァンゲリオン」が登場、国民的な大ヒットアニメとなり社会現象となっている。

人形兵器が人造人間であること、世界観や結末が掴めず視聴者の想像力で全貌を補完させる物語の構成、 異常者が多いサブキャラなどこれまでに無い斬新な作品で一大ブームを巻き起こした。

取り分けキャラクター性に重点が置かれており設定が作り込まれているのが特徴。登場人物の多くは何かしらの闇を抱えている事が多く、物語が進んでいく中でそれぞれの人物像を深く掘り下げる描写が多くなっていくのもこの作品の魅力である。特に「惣流・アスカ・ラングレー」「綾波レイ」はエヴァの中でも特に人気の女性キャラとなった。

また、エヴァを皮切りにキャラクター性にスポットを当てたアニメが多く制作され、登場人物に重点を置いた「機動戦艦ナデシコ」、ゲームでは「サクラ大戦」などが登場している。
この様にキャラクターを全面に売り出すスタイルはロボットアニメに限らず、様々なジャンルのアニメでも採用されており、この潮流は現在のアニメ業界にも受け継がれている。

1990年代を代表するロボットアニメ
1990年勇者エクスカイザー
太陽の勇者ファイバード
1991年機動戦士ガンダムF91
機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー
1992年伝説の勇者ダ・ガーン
超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-
1993年勇者特急マイトガイン
機動戦士Vガンダム
1994年機動武闘伝Gガンダム
マクロスプラス
マクロス7
1995年黄金勇者ゴルドラン
新機動戦記ガンダムW
新世紀エヴァンゲリオン
1996年勇者指令ダグオン
機動新世紀ガンダムX
機動戦士ガンダム 第08MS小隊
機動戦艦ナデシコ
1997年勇者王ガオガイガー
1998年機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート
新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別編
1999年 ∀ガンダム
魔装機神サイバスター
機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ラスト・リゾート

 

 2000年代以降のロボットアニメ (ビジネスモデルの変化)

2000年代以降のロボットアニメ(ビジネスモデルの変化) / 日本におけるロボットアニメの歴史を年代順に振り返ってみた
90年代後半には定番路線のマンネリ化、日中の放送枠の減少、家庭用ゲーム機やカードゲームの普及など趣味の多様化による煽りを受けた影響でスポンサーから玩具業界が撤退するケースが相次いだ。

また、ロボットアニメ業界に大きな潮流も生まれない事もあって新規タイトルの登場が減少傾向にあるが、その様な中でも「コードギアス」「エウレカセブン」「ダンボール戦機」の様に後にシリーズ化されたロボットアニメも登場している。

全体的には高年齢層を中心に既存のロボットアニメファンを取り込んだ制作にシフトする事になり、これまでにヒットしたシリーズの続編やリメイク作品が多くなっており、「ガンプラ」や「マクロス」のプラモデル、スーパーロボットのフィギュアや超合金などは依然として人気がある。

2000年代を代表するロボットアニメ
2000年G-SAVIOUR
2001年GUNDAM EVOLVE
2002年機動戦士ガンダムSEED
マクロス ゼロ
2004年蒼穹のファフナー
機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
2005年創聖のアクエリオン
交響詩篇エウレカセブン
機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-
機動戦士ΖガンダムII A New Translation -恋人たち-
2006年コードギアス 反逆のルルーシュ
機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079-
動戦士ΖガンダムIII A New Translation -星の鼓動は愛-
2007年ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 序
機動戦士ガンダム00
2008年機動戦士ガンダム MSイグルー2 重力戦線
機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン
マクロスF
2009年ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 破
2010年機動戦士ガンダムUC
2011年ダンボール戦機
機動戦士ガンダムAGE
2012年ヱヴァンゲリヲン新劇場版Q
2014年革命機ヴァルヴレイヴ
ガンダムビルドファイターズトライ
2015年機動戦士ガンダム サンダーボルト
2016年機動戦士ガンダムUC RE:0096
2018年劇場版 マジンガーZ / INFINITY
劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ
機動戦士ガンダムNT
2019年コードギアス 復活のルルーシュ
機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星
2020年シン・エヴァンゲリオン劇場版:II
2021年機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ
ゲッターロボ アーク
2022年機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
機動戦士ガンダム 水星の魔女

 

ロボットアニメの歴史の感想

日本におけるこれまでのロボットアニメの歴史を振り返ってみました。

初代ロボットアニメは巨大ロボットではなく、人間と同じサイズで感情を持っている「鉄腕アトム」でした。

ただ、「ドラえもん」のドラえもん、「キテレツ大百科」のコロ助、「Dr.スランプ アラレちゃん」の「アラレちゃん」なども実際には”ロボット”ですが、ジャンルとしては「ロボットアニメ」にならないかと思います。

全体的に見てみると60年代は「鉄腕アトム」「鉄人28号」が放送されたぐらいで、ロボットアニメというジャンル自体も一般的ではなかったですが、70年代にはスーパーロボット、80年代にはリアルロボットのアニメが流行しました。

90年代以降は80年代の潮流を受け継ぎつつもアニメ業界全体がキャラクター性を重視した方向性に変わっていった感じがしますね。

その象徴的なロボットアニメが「新世紀エヴァンゲリオン」「新機動戦記ガンダムW」かと思います。ロボットが好きなファン層だけではなく、登場キャラの魅力を全面に出す事で新規ファン層を開拓していく様な作品が多いのが90年代以降のスタイルだと思います。

2000年代以降は新規のロボットアニメが登場しつつも「ガンダム」「マクロス」「マジンガーZ」「ゲッターロボ」などの過去のヒット作の続編やリメイク版が多く目立つ様になりました。

またロボットアニメ以外のジャンルでも「AIR」「CLANNAD」「干物妹!うまるちゃん」という様なキャラクター性を売りにするアニメは多いですが、こういったスタイルはまさに90年代半ば辺りから始まったといっても過言ではないかと思います。