機動戦士ガンダムのリックドム12機撃墜の真相とアムロのニュータイプ覚醒についてまとめてみました。
ガンダム界隈で有名なエピソードの一つに戦闘後たった3分でリックドム12機が全滅したというものがあります。
このエピソードは主人公のアムロ・レイが徐々にニュータイプ覚醒の片鱗を見せ始めたシーンとしても有名かと思います。
今回はリックドム12機撃墜とアムロのニュータイプ覚醒の経緯を追ってみたいと思います。
リックドム12機全滅の経緯
機動戦士ガンダム 第33話「コンスコン強襲」の劇中で繰り広げられたリックドム全滅シーンと関連エピソードをまとめてみました。
サイド6に入港するホワイトベース
ホワイトベースを修理するため中立コロニー群「サイド6」の8バンチ・パルダに入港したホワイトベース隊。
戦争行為にあたる事からサイド6の中でホワイトベースの修理は出来ず。その後、アムロ達はしばらくの間コロニー内を散策する事に。
ミライ・ヤシマとサイド6の監察官で彼女の婚約者のカムラン・ブルームの再会。だが、カムランの言葉はどこか他人事だった事もあり彼の想いはミライには届かなかった。
仲間達と休暇中にアムロは本屋から出る父「テム・レイ」を偶然見かけサイド7のザク襲撃以来の再会を果たす。
しかし宇宙に投げ出され酸素欠乏症になっていたテム・レイ。そこにはアムロが期待していた父の姿はもう無く自分の事や母を心配する様子はなかった。
この時、父の姿に落胆したアムロは帰路の途中で彼から貰った時代遅れの「最新型の回路」を投げ捨てている。
ホワイトベースを待ち伏せするジオン
カムランのコネにより艦を修理するため戦闘禁止宙域外にあったペルガミノのドックに向かうためサイド6を出発するホワイトベース。
これを感知したコンスコンはリックドム12機を発進、ホワイトベースがサイド6から出てきた所を強襲しようとする。
今回の作戦を指揮するのは「ドズル・ザビ」の腹心の一人である「コンスコン」。
彼は「シャア・アズナブル」に対抗心を燃やし”いつか奴の化けの皮を剥いでみせる”と意気込む。
サイド6から出るホワイトベースを護衛するガンダム。これを感知したコンスコンはリックドム12機を発進させる。
リックドムの強襲と艦隊戦
ホワイトベースがサイド6を出ると待ち伏せしていたコンスコン艦隊が主砲を発射。
ホワイトベースの目の前で破壊される浮きドッグ。一方でリックドムも複数で連携してアムロのガンダムに攻撃を仕掛けるが命中せず。
逆にガンダムのビームライフルで返り討ちに遭い、一瞬にして指揮官機が撃墜される。その後、僅か3分経たずにして12機出撃したリックドムが全滅。
戦果はアムロがリックドムを9機。セイラ、カイ、スレッガーがを各1機ずつ撃墜、ホワイトベースがムサイ級を撃沈している。
ジオン軍艦隊の先制攻撃により、戦闘禁止宙域外に出るホワイトベースの目の前でドッグが破壊される。
戦闘開始早々にリックドムがガンダムを襲うが、アムロの驚異的なパイロットセンスによってあっという間に3機撃墜。
ホワイトベースも迎撃開始。メガ粒子砲とミサイルでムサイ級のクワメルを撃沈。これにより徐々に焦りを見せ始めるコンスコン。
戦いを止めさせるために戦闘禁止宙域外に出るカムラン。
アムロが撃墜した6機目のリックドム。バルカンでモノアイ破壊された後にビームライフルでトドメを刺された。
最後の一機を撃墜したシーン。12機のうちアムロの戦果は9機。戦闘直後のアムロはかなり疲弊た様子が描かれている。
コンスコン「ぜ、全滅? 12機のリックドムが全滅?3分も絶たずにか・・・」
コンスコン「傷ついた戦艦一隻でリックドムが12機も・・・ば、化け物か・・・」
シャアと協力して彼にガンダムを足止めして貰えれば、リックドムでもホワイトベースを撃沈できたかも知れない。
シャアのザンジバルが登場。
サイド6のパトロール機を攻撃すれば国際問題になってしまう事もあり、早急にコンスコン隊に攻撃を止めさせるシャア。
シャアのザンジバルを探知したホワイトベースはサイド6の戦闘禁止宙域内へ撤退していく。
アムロのニュータイプ覚醒
第33話「コンスコン強襲」ではリックドム12機のうち短時間で9機撃墜するなど目覚ましい活躍を見せたアムロ・レイ。
第34話「宿命の出会い」ではアムロがニュータイプとしての本格的に覚醒した事を窺わせるエピソードも描かれています。
ララァ・スンとの出会い
コンスコンの待ち伏せによる強襲を退け、一度サイド6に引き返したホワイトベース。再びサイド6のコロニー内を滞在していたアムロだったが、そこで運命の女性と出会う。
父「テム・レイ」の元へ向かうため車を走らせていたアムロ。だが、突然の降雨によって近くの屋敷に雨宿りする事に。
すると同じく雨宿りをしている一人の少女を発見。少女は空を飛んでいる白鳥に対し「かわいそう」と呟くと直後に白鳥は湖に落下。
気になったアムロは「あの鳥の事、好きだったのかい?」と少女に尋ねた。すると「美しいものが嫌いな人がいて?」という声がアムロの頭の中でリピート。
少女「美しいものが嫌いな人がいるのかしら?それが年老いて死んでいくのを見るのは悲しい事じゃなくて?」
アムロ「そ、そりゃそうです。そうだけど・・・僕が聞きたいことは・・・」
少女「わぁ、(雨が)止んだわ」
少女「綺麗な目をしているのね」
少女は椅子から立ち上がると、アムロの目を見るなり一言呟いて去っていった。不思議な雰囲気で超然とした振る舞いをする彼女を目で追い続けるアムロ。
再び父の元へ駆けつけたものの、ドアの前から動くことが出来ないアムロ。
そして、以前再会した際にアムロに渡した回路とガンダムの性能の事しか話さない父。二人の微妙な距離感が窺える。
机に向かって新開発に打ち込もうとする父。
普段は整理整頓する父だったはずなのに、本が落ちても気付かない。
そして父の後ろ姿を見るアムロ。直後にアムロの目には机にもたれ掛かって死んでいる父の姿が映った。
ララァの言葉に同調した事により、彼女の影響で身についたアムロの未来予知の能力が最初に発揮されたシーンである。
父の元を離れ悶々としながら宇宙港を目指していた所、突然車のタイヤが道路の溝にハマってしまう。
すると一台の車がアムロの横を通り過ぎ、泥水が跳ね上がった。すると停止した車から一人のジオン軍の士官らしき男が降りてきた。
アムロは一目見た瞬間に分かった。この男が「シャア・アズナブル」だという事を。
少女「ごめんなさい、避けられると思ったんだけど」
運転席には先ほど雨宿りしている時に出会った少女がいた。
“避けられると思ったんだけど”などと意味深な事を言う少女。
父と会っている時に見た未来予知とは違い、アムロはタイヤが溝にハマる事や泥水が自分に跳ねる事を予測出来なかった。
ニュータイプと言えども他の事に集中していると感覚が鈍る事を示唆しているのか? それともアムロのニュータイプ能力ではまだララァの領域に追いついていないのか?
シャア「君は?」
アムロ「アムロ、アムロ・レイです」
シャア「アムロ・・・不思議と知っている様な名前だな」
アムロ「(知っている・・・あなたを知っている・・・)」
車の牽引準備をするシャア。
アムロ「お、お手伝いします・・・」
シャア「かまわんよ、済んだ。」
アムロ「すみません。あ、あのお名前は?」
アムロ「シャア・アズナブル。ご覧の通り軍人だ。」
アムロ「(シャア・・・!!)」
シャア「ララァ、車を動かしてくれ」
普段モビルスーツで戦っている仲とはいえ、アムロにとってシャアとは初めて対面での出会い。
初めてなのに彼を見た瞬間にどうしてシャアと分かったのか?とアムロは不思議に思った。アムロはシャアと認識しているのに対し、シャアはアムロの事を何となく出会った気がすると認識。
アムロ「あれが、シャアか・・・シャア・アズナブルとか言ったな・・・」
アムロ「それにあの娘も・・・ララァとか言ったな・・・」
シャアとララァのおかげで車を牽引する事に成功。そして、礼を言うなり足早に去っていくアムロ。
シャア「どうしたんだ?あの少年?」
ララァ「大佐の名前を知っているからでしょ、赤い彗星のシャアって。怯えていたんですよ、きっと。」
シャアにはアムロの心境が分からなかったが、ララァには分かっていた。
シャアに関してはニュータイプとして片鱗はあるものの、本格的に覚醒していないと窺わせるシーンである。
覚醒後の初モビルスーツ戦
アムロが本格的にニュータイプに覚醒した後の初実戦。
前回の9機撃墜の時も覚醒の片鱗を見せていたが、今回のアムロは今までの戦いぶりと少し違っていた。
サイド6の領域外で待ち伏せするコンスコン部隊。
そして、ホワイトベースが戦闘宙域外に出るのを待つ6機のリックドム。
戦闘開始の瞬間に先制攻撃を受けるホワイトベース。
ガンダムが登場後、間も無くして3機撃墜。
残りの3機も撹乱攻撃を仕掛けるが、 攻撃が当たらない。
ジオン兵「まるで、こっちの動きを読んでいるようだぜ・・・」
一瞬不意を突かれが、咄嗟の判断で攻撃を回避するアムロ。直後に4機目を撃墜。
アムロ「見える・・・動きが見える・・・見える!!」
ガンダムの後ろを取ったジオン兵だったが、これに反応するアムロ。5機目のリックドムを撃墜。
直後に6機目のリックドムも撃墜。コクピットをピンポイントで狙い撃ちしているのが分かる。
ブライト「何があったんだ・・・今日のアムロは勘が冴えている・・・」
アムロのいつもよりも余裕のある戦いぶりにブライトも何かを感じ取っていた。
コンスコン「は、話にならん!!木馬一隻にこんなに手こずって・・・。シャ、シャアが見ているんだぞシャアが!!」
戦闘前には”若造に舐められてたまるか”と意気込むコンスコンだったが、保有するモビルスーツは全機撃墜。
後に引けなくなった彼はチベで特攻を仕掛ける事を決意。
この戦いは生中継されており、シャアとララァも連邦とジオンの戦いをぶりをテレビで見届けた。
ララァ「白いモビルスーツが勝つわ。」
シャア「ん?ガンダムは映っていないぞ?」
ララァ「分かる、そのために私の様な女を大佐は拾って下さったんでしょ?」
シャア「フフッ、ララァは賢いな」
ララァ「フフフッ」
ビームライフルの残弾が尽きたガンダム。そして、ホワイトベースに接近するチベ。
だが、アムロはチベの2箇所の心臓部を見抜き、ビームサーベルで突き刺して撃墜する神業を披露。
これによりコンスコン少将は戦死する。
「そうだ、それでいいのだアムロ!!」
「あの新しいメカのおかげだ、ガンダムは使えるぞ。ハハハハッ!!地球連邦万歳だ!!」
連邦軍とジオン軍の戦いを生中継で見ていたテム・レイ。
ガンダムが勝ったのは自分が設計した回路のおかげだと本気で思っている様子だった。
テレビアニメ版だとこれ以降の消息は途絶えるが、劇場版ではこの直後に外にある階段から転げ落ちて死んでしまう。
サイド6を離れるホワイトベース。そして、アムロのラストシーン。父との永遠の別れを悟ったのか、サイド6を見つめながら涙するアムロ。
リックドム12機全滅とアムロの覚醒の感想
リックドム全滅とアムロが本格的にニュータイプへ覚醒したと思われるシーンを紹介しました。
今回紹介した2話分のアムロの戦果をまとめると、最初の戦いではリックドム9機撃墜。ニュータイプに本格的に覚醒した2度目の戦いではリックドムを6機+チベ級を1隻を撃墜しています。
1度目の戦闘でも9機撃墜したものの、最後はアムロが疲れた様な描写がみられます。この時点では完全にニュータイプに覚醒した訳ではなく、アムロの経験と技術でカバーしていた部分も大きいと思われます。
ところが、ララァと出会ってからは瞬間的に未来予知が出来る様になりました。コンスコン部隊と再戦となった2度目の戦いでは相手の動きが良く見えており戦闘後も全く疲れを見せていません。戦闘後の疲れよりもサイド6に住む父へ思いを馳せているのが印象的でした。
ニュータイプ能力についてですが、ララァに関してはアムロの意識に介入したりするなどニュータイプとしてレベルが高いと思わされる描写が多いです。
アムロは本格的に覚醒したばかりですが、今後のエルメスとの戦いにおいてララァとお互いの意識に介入し共感、その能力を存分に発揮していく事になります。
シャアに至ってはアムロやララァに見られる様な顕著な非言語的コミュニケーション能力が描かれていないですが、ララァを失った以降は最終決戦で搭乗したジオングでオールレンジ攻撃を使用している事から3人の中では一番最後に覚醒したと言えると思います。