コラム

【リニア新駅】奈良県の駅候補地のメリット・デメリットまとめ【平城山・八条大安寺・大和郡山】

【リニア新駅】奈良県の駅候補地のメリット・デメリットまとめ【平城山・八条大安寺・大和郡山】

リニア中央新幹線の奈良県の駅候補地のメリット・デメリットを考察してみました。

リニアの奈良県内の駅設置をめぐり、当初は 奈良市・生駒市・天理市・大和郡山市 が候補地として名乗りを上げていました。

しかし、2022年には有力候補として奈良市内の「平城山駅付近」「八条・大安寺付近」、そして大和郡山市内の「近鉄橿原線とJR大和路線の交差部分」 の3か所に絞られました。

それぞれの候補地には独自のメリット・デメリットがあり、立地やアクセス性、今後の都市開発の観点から検討が進められています。

本記事では、これら3つの候補地について詳しく考察していきます。

奈良県のリニア新駅の候補地まとめ

 平城山ルート

奈良市の北端に位置し京都府との県境。

大和路線と奈良線が乗り入れるJR平城山駅周辺にリニア新駅を設置する案について考えてみました。


メリット:

○ 直線的なルートを確保しやすい
リニア新幹線は直線的なルートを重視しており、リニアのコンセプトに沿った立地と言える。

より直線的なルートのため新大阪〜名古屋間の建設コストや走行時のエネルギーロスを抑えられる。

真偽は不明だが、奈良市の北側に位置する青山や川上町付近で過去にボーリング調査が行われていたという情報もあるので、JR東海としては当初から奈良市の北部を最有力候補にしていた可能性もある。

○ 近鉄けいはんな線の延伸の可能性あり?
近鉄けいはんな線の「学研奈良登美ヶ丘」から「高の原」を経由して「JR平城山」まで延伸すればリニアに接続可能。

「高の原」から「大和西大寺」に行き、近鉄奈良線と橿原線が利用できるようになるので北西部や南部にアクセスする際の利便性が向上する。


デメリット:

× アクセスがしにくい
平城山駅自体はJR関西本線(大和路線)と奈良線が乗り入れるが、奈良県内の主要な移動手段である近鉄線とは接続していない。

近鉄奈良駅や大和西大寺駅と比べると、県内各地からのアクセス性が劣る。

また自動車でのアクセスについても、奈良市の交通網は渋滞が常態化しているため、県内各地からの移動となるとさらに悪化すると考えられる。

× 近鉄線と接続できない
信貴生駒方面、西ノ京方面や橿原・飛鳥方面に行くには交通の利便性が悪すぎる。

けいはんな線が延伸すれば解決するが現状は期待できない。

※当初は高の原を経て、木津川まで延伸の予定でしたが、費用対効果の問題で計画が頓挫したという経緯もあります。

× 用地の確保で時間がかかる可能性
周辺は住宅地であること、駅の南側には遺跡もあるので発掘調査などで時間がかかる可能性もある。

× 駅周囲の発展性に懸念
商業施設や宿泊施設などのインフラが未整備であり、駅を中心とした都市開発を行う場合、既にニュータウンとして開発されているのが懸念点。

ならやま大通りの南側には佐紀古墳群など遺跡が多数存在しており、発掘調査などで都市開発に遅れを生じさせる可能性もある。

「総合的な評価 (平均 3.8/10)」
直線的なルートを取りやすいことからリニアの建設計画としては魅力的な候補地になっている。

ただし、交通の利便性や観光振興の面では依然として課題が残っており、県民や観光客の利便性を考えると主要路線である近鉄線との接続がネックとなる。

また3つの候補の中では、県内の住宅街の下を通過する頻度が高いため工事の難易度も高くなる可能性もある。

正直なところ、平城山ルートはリニア計画の「可能な限り直線ルートにする」というコンセプトに合っている以外あまりメリットが無いという印象。

・県内外からのアクセス (2点/10)
自動車△
県内のJR沿線○
近鉄線から×
大阪方面×
京都方面○

・観光地までのアクセス性 (5点/10)
奈良公園周辺や天理・桜井、斑鳩方面○
信貴生駒、西ノ京、橿原・飛鳥方面×

・建設の容易さ (5点/10)
空き地がある○
住宅地が多い△
丘陵地帯である△
周辺に遺跡がある△

・将来の発展性 (3点/10)
観光拠点と商業施設としてのポテンシャル×

 八条・大安寺ルート

奈良市の中心市街地に近く済生会病院の隣、大安寺の西側に位置する。

JR奈良駅とJR郡山駅の間に建設予定のJR大和路線の新駅付近に、リニア新駅を設置する案について考えてみました。


メリット:

○ 主要観光地から近い
JR新駅から直結で奈良公園方面・斑鳩方面に行けるので、有名な観光スポットに行く場合は利便性が高い。

 

○ 新駅と周辺開発による都市機能の向上
周囲は田園が多く発展の余地がある。

既存の市街地に近く、駅周辺に必要なインフラ整備が進めやすい。また、駅周辺の商業施設やビジネス拠点が整備される可能性が高い。


○ 京奈和自動車道や主要幹線道路との連携

将来的に京奈和自動車道の延長により奈良IC(仮)ができること、主要な道路に近いので観光バスで各地に移動することが容易。

車でのアクセスがしやすく、奈良県内や関西圏各地からの利用が期待できる。

京奈和自動車道や主要幹線道路との連携 京奈和自動車道や主要幹線道路との連携2


デメリット:

× 鉄道路線の利便性が低い
平城山ルートと同じく、近鉄奈良線と橿原線が使えないため信貴生駒方面、西ノ京方面、橿原・飛鳥方面の観光地へのアクセスが悪い。

また天理・桜井方面へ行くにはJR桜井線(万葉まほろば線)を利用するが、この場合「JR奈良駅」まで行って乗り換える必要がある。

そのため観光拠点としての存在価値に疑問が残る。

× 用地の確保で時間がかかる可能性
周辺は田園が多いが、平城京のエリア内だった事もあり発掘調査で時間がかかる可能性は否定できない。

また、新駅設置とともに周辺開発を行うため、地元住民や既存の施設との調整が必要。

× 西ノ京方面の文化財への懸念
世界遺産の「唐招提寺」「薬師寺」の地下を通過する可能性があり工事がより難くなる可能性がある。

「総合評価 (平均 5.3/10)」
奈良市の中心部に近く、主要観光地まで行く分には全候補の中で一番利便性が高いが、鉄道利用の場合は南部方面までのアクセスが悪いためバスなどの交通手段による改善が求められる。

駅周辺の整備は既存の市街地の空洞を埋める様な形で進められるので、都市の一体的な発展が期待できる。

ただし、遺跡の発掘調査次第では開発速度に影響が出てくる可能性は否めない。

・県内外からのアクセス性 (6点/10)
自動車○
JR沿線○
近鉄沿線×
大阪方面△
京都方面△

・観光地までのアクセス性 (4点/10)
奈良公園周辺、斑鳩方面○
信貴生駒、西ノ京、橿原・飛鳥方面×
天理・桜井方面△

・建設の容易さ (5点/10)
空き地がある○
平地である○
用地買収△
文化財の下を通る×
遺跡がある×

・将来の発展性 (6点/10)
商業地のポテンシャル○
観光拠点のポテンシャル△

 大和郡山ルート

近鉄橿原線とJR大和路線の沿線の交差部分にリニア新駅を設置する案について考えてみました。


メリット:

○ 鉄道利用の利便性が高い
近鉄沿線とJR沿線からのアクセスがしやすく、3案の中で最も南に位置している事もあり県内各地からのアクセス性に優れる。

大阪や京都方面からの鉄道利用によるアクセス性も良く、県外への利便性も良い。

また電車移動による奈良県に点在している観光地へのアクセスが良好なため観光拠点としても最適。

○ 自動車利用もしやすい
大和郡山北ICが設置される予定のため車移動によるアクセスがしやすく、また観光バスで各地へ移動もしやすい。

○ 用地の確保が容易
田園地帯なので用地の確保がしやすく、歴史的に遺跡が少ないエリアということもあり発掘調査も比較的少なくなる。

○ 駅周辺の発展性が期待できる
田園地帯で3つ案の中でも最も開発が遅れているエリアなので、リニア新駅の設置・開通を機に周辺地域の発展が期待できる。


デメリット:

× 主要観光地である奈良公園周辺地域から遠くなる
県内の観光地として最も人気が高く訪問者数が多い奈良公園周辺地域までの距離が遠くなる。

ただし、乗り換えなしでアクセスできるので不便ではない。

× リニアの直線ルートから外れる
JR東海が目指している名古屋〜大阪間の直線ルートの構想に適していないため、距離増大によるコストがかかる恐れがある。

× 現在の都市機能が弱く開発に時間がかかる
既存の都市機能が少ないため、リニア新駅周辺の拠点整備に時間がかかることが予想される。

「総合評価 (平均 7.8/10)」
近鉄線とJR線の両方が交差することにより、県内外からのアクセスや、県内に点在する観光地へのアクセスのしやすさから奈良県全域に恩恵があるルートと言える。

既存の大和西大寺駅や奈良駅に加えて、ターミナル駅・観光拠点として新たな交通ハブを形成する可能性を持つ。

奈良市中心部に偏りがちな交通機能を分散させることで、県内各地からのアクセス性向上や、観光客の流動を促進する効果が期待できる。

また、新駅を中心とした商業施設や宿泊施設の整備、観光バスやレンタカーの設置などにより、これまでアクセスが不便だった観光地への新たな玄関口となることも考えられる。

・県内外からのアクセス性 (8点/10)
自動車○
JR沿線○
近鉄沿線○
大阪方面○
京都方面○

・観光地までのアクセス性 (8点/10)
一部を除き県内各地の観光地まで○

・建設の容易さ (7点/10)
空き地がある○
平地である○
用地の確保○
リニアルートが直線ではない×

・将来の発展性 (8点/10)
商業地のポテンシャル○
観光拠点のポテンシャル○

奈良県の駅候補地のメリット・デメリットの感想

今回は奈良県のリニア新駅の候補地について考察してみました。

現在は「 平城山ルート」「八条・大安寺ルート」「大和郡山ルート」の3ヶ所に絞られています。

「 平城山ルート」はほぼ直線にレールを敷けることから、リニアの本来のコンセプトにマッチしているかなと思います。しかし奈良県民が利用するにはあまりに北端過ぎて利便性や発展性を考慮してもリニアの恩恵が県全体に行き渡らない可能性が高いと思っています。

「八条・大安寺ルート」に関しては唐招提寺や薬師寺の下を通る可能性がありますし、遺跡の発掘調査でも時間がかかると思うので技術的に難しそうです。
鉄道の利便性も良いとは言えないのでその点も懸念材料ですね。

「大和郡山ルート」は近鉄線とJR線の結合する事でターミナル性が生まれ県内外ともに鉄道の利便性が向上しますし、何より今後の発展性を考慮しても奈良県全体の利益に繋がるのではないかと思います。

やはり、奈良県にリニア駅を作る以上は北部偏重ではなく、県全体にメリットがないと意味がないと思っています。

奈良県内の駅の設置場所はまだ決まっていませんが、今後も行方を追っていきたいと思います。