ガンダムシリーズに登場するバルカン砲・ガトリングガンを紹介したいと思います。
一年戦争では主力武器として活躍機会も多かった実弾兵器ですが、以降の時代ではビーム兵器が主力となった宇宙世紀においてもリアルな世界で存在しうるミリタリー色の強い武器として一部のガンダムファンから支持を受けているバルカン砲。
今回は宇宙世紀ガンダムシリーズに登場したバルカン砲やガトリングガンについてまとめてみました。
バルカン砲とガンダムシリーズでの立ち位置
バルカン砲とは
出典元:www.deviantart.com
バルカン砲・ガトリング砲とは電気・油圧により銃身を回転させ高速に弾丸を発射するために開発された多銃身機関銃。
発射ガスを利用して次弾を装填する従来の機関銃に比べ発射速度が飛躍的に向上しているのが最大の特徴である。(航空機用のM61バルカンでは毎分4000発〜6000発の連射速度)
初期のガトリング砲は発明家のリチャード・ジョーダン・ガトリングによって生み出され回転式の多銃身機関銃としてクランクを手動で回す事により銃身の回転と発射を行う仕組みとなっていた。
現在では「ガトリング」という名称はバルカン砲やミニガンを総称する意味としても使われている。
1946年にアメリカで開発され現在でも多くの戦闘機で採用されているM61バルカンは従来の航空機用のマシンガンの連射速度をさらに向上させるべく、高速に弾丸を発射させる事が出来る兵器として電気駆動で銃身を回転させるシステムを採用。
電気刺激により起爆する火薬を装填した電気雷管を使用しており、ファイアリングピンの撃発の際には重力の影響による不発を大幅に防ぐ事が可能となっている。
ガンダムシリーズにおけるバルカン砲
ビーム兵器の搭載機が少なかった一年戦争では口径の大きさを問わずガンタンク、グフなど地球連邦軍・ジオン公国軍の主力モビルスーツで積極的に採用されており、メインウェポンとして躍動した。
多くのガンダムタイプで装備されている「頭部60mmバルカン砲」はドラム型のマガジンに装填されている弾丸を高速回転させた銃身から発射、近接攻撃用の兵器として重宝した。
ちなみに「機動戦士ガンダム」の第1話で初代ガンダムが立ち上がりザクに向かって初めてバルカン砲を発射した場面はガンダムファンの中でも有名である。
ただシリーズ全体で見てみるとビームライフルを代表とするビーム兵器の活躍シーンが圧倒的に多く、特にビーム兵器の搭載機が多数登場した一年戦争以降では実弾兵器の出番も減っていった事もあり、主力としてのバルカン砲やガトリングガンが戦場で姿を見せる事が少なくなっていった。
だが、頭部バルカン砲など一部の兵器では敵機に対しての牽制や相手の不意を突く際に使用されるなど活躍シーンは限定的になりつつあったものの登場機会が失われる事はなかった。
「機動戦士ガンダム」の第1話でガンダムが頭部バルカン砲を撃つシーン。
映像作品ではシリーズ史上でガンダムと名の付く機動兵器が初めて武器を使用したシーンである。
ガンダムヘッドと内部に搭載された5銃身のバルカン砲。ドラム型マガジンと一体型になっているのが分かる。
ガンダムシリーズに登場するバルカン砲まとめ
頭部バルカン砲
頭部の両サイドに1基ずつ装備する近接防御用の火器で主に連邦系の機体に搭載されている。
小口径の兵器が多いものの近距離であればモビルスーツに致命傷を与える事も可能なほどの威力を持つ。
60mmバルカン砲
搭載機種:ガンダム、ガンダムNT-1、試作1号機・2号機、Zガンダム、百式、ジム系モビルスーツなど多数
ガンダムタイプのMSや量産機であるジム系列の機体など地球連邦軍の主力モビルスーツを中心に幅広く搭載されている兵器。
頭部バルカン砲の中でもオーソドックスな部類でシリーズにおいて最も登場機会の多いバルカン砲である。
初代ガンダムであるRX-78の初攻撃シーン時に使用された兵器でもあり、白兵戦で多数使用されている。
ちなみにRX-78の頭部バルカン砲は薬莢を使わないカートレス式となっている。
「機動戦士Zガンダム」の最終話。キュベレイとの戦いで追い詰められた百式がバルカン砲を撃つ。
ガンダム試作2号機の頭部バルカン砲。
35mm頭部バルカン砲
搭載機種:ガンダムEz-8
ガンダムが装備するバルカンの中でも比較的小口径な実弾兵器で牽制用として機能する。側頭部には排莢口が設置されている。
バルカン・ファランクス
搭載機種:リック・ディアス、シュツルム・ディアス
頭部にあるコクピット上部に搭載されている55mm連装機関砲。
射撃時の際には頭部のカバーを開ける必要があるためコクピットを露出する危険性がある。「機動戦士Zガンダム」の第2話ではガンダムMk-IIの奪取作戦の際に追撃してきた連邦軍のジムIIを撃墜している。
ダブルバルカン
出典元:renote.net
搭載機種:ZZガンダム
口径の詳細は不明。ちなみに劇中では使用されていない。
牽制用機関砲だがハイメガキャノンの搭載に伴い口径や装備位置が変更されており、数ある資料の設定が一致しない。
90mmバルカン砲
搭載機種:νガンダム
口径は60mm説と90mm説がある。
作動性を重視した薬莢方式を採用しており、発射時には側頭部から空の薬莢が排出される。牽制用ではあるものの劇中ではギラドーガの頭部を破壊するシーンが存在するなど随所で活躍した。
バルカン砲 (Vガンダム)
搭載機種:Vガンダム、V2ガンダム
Vガンダムのバルカン砲には詳細な設定は存在しないが、15メートル級の小型MSであるF91と同じく小口径と思われる。
頭部バルカン砲(その他) | |
アッガイ | 105mmバルカン砲 |
プロトGファイター | 2連装30mmバルカン砲 |
ディジェSE-R | 80mmバルカン砲 |
量産型ZZガンダム | 50mmバルカン砲 |
腕部バルカン砲
片方もしくは両腕部に搭載されたバルカン砲。頭部バルカン砲に比べ銃身が露出しているものが多い。
口径の比較的大きい火器が多くメインウェポンとしての使用機会が多い武器だが搭載機は全体的に少なめ。
90mmガトリング砲
搭載機種:ガンダムNT-1 (アレックス)
両腕部の装甲カバー内に格納されている機関砲。
フィールドモーターの技術により関節部が小型化する事で腕部内に収納可能になったものの、装弾数や振動に課題を抱えている。
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」では主力兵器として活躍、第4話ではビームサーベルで襲いかかるケンプファーの装甲を貫き戦闘不能に追いやった。
さらに第6話でもザクII改との戦いで使用されたが、後にヒートホークで切断されたため使用不能になっている。
5連装フィンガーバルカン
搭載機種:グフ
資料によっては「5連装75ミリ機関砲」と記載されている。
左手のマニュピレーターに搭載された実弾兵器で弾倉は左腕のスペース内に収められており、指先の発射口から弾丸を発射する。
曲射砲身を採用した事で柔軟な運用が期待されていたものの、実戦では一部の熟練したパイロットのみしか扱えなかった事もあり本装備を取り外す部隊も多かった。
腕部バルカン砲(その他) | |
ガンタンク | 腕部バルカン砲 |
陸戦型ゲルググ | アーム・ガトリング |
胴部バルカン砲
胴体部に搭載されたバルカン砲。胸部に装備されている事が多く銃身も隠れているものが多い。口径の大きさは様々で対人兵器を搭載する機種も存在する。
12.7mm対歩兵用旋回式胸部バルカン砲
搭載機種:ガンダムEz8
胸部中央に設置された対人機関砲。
胸部装甲内に設置されている二基のドラム式弾倉から弾薬を供給し、発射口は上下左右に可動する事が可能となっている。
「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」の第10話ではグフカスタムとの戦いで使用。頭部バルカンと100mmマシンガンと同時発射するシーンが存在する。
メガマシンキャノン
搭載機種:ガンダムF91
コクピットハッチの両サイドに搭載された大型機関砲。頭部バルカンよりも威力が高くモビルスーツを撃墜するほどの威力を持っている。
胴部バルカン砲(その他) | |
ガンダムF90-Jタイプ | マシンキャノン |
ブレッダ | 50mmバルカン砲(胸部) |
ハイゴッグ | 120mmマシンキャノン |
ザメル | 20mmバルカン砲 |
外付け型・携行型バルカン砲
ここでは機体各所に存在するハードポイント装着型のオプション兵器や、携行型のガトリングガンを紹介。
オプション型に至っては頭部や胴部など装備の場所は限定していない。メインからサブウェポンまで幅広い種類の武器が存在する。
3連装35mmガトリング砲
搭載機種:グフカスタム、イフリート
グフの左手部に内蔵されたフィンガーバルカンを廃止し、腕部に外付けする実弾兵装。照準用センサーを装備する。
フィンガーバルカンの装弾数の少なさや、戦闘中の給弾不能などの懸念点を解消している。
バルカンポッド・システム
搭載機種:ガンダムMk-II
ガンダムタイプのモビルスーツが搭載していたバルカン砲をオプションとして外付けにした装備。ガンダムMk-IIの頭部にコ・プロセッサーを搭載した事でバルカン用のスペースを確保出来なくなったため考案された。内蔵型と違い装弾数が多いのが特徴。
「機動戦士Zガンダム」の第1話から登場しており、グリーン・ノアに潜入していたシャア・アズナブルに対し発砲するシーンが存在する。
「機動戦士Zガンダム」の第2話ではグリーンノア内の混乱に乗じて脱走したカミーユ・ビダンがガンダムMk-IIに搭乗。逮捕時に取り押さえられたMPに対して発砲するシーンがある。
バルカンポッド・システムを装着したエゥーゴカラーのガンダムMk-II。
4連装マシンキャノン
搭載機種:Gキャノン
背部バックパックに装備する脱着可能なカートリッジ式の4連装機関砲。
フロンティア・サイドに侵入してきたクロスボーン・バンガード軍のMS相手に発砲するも、落下した空薬莢が避難中の民間人に直撃した事により死亡させてしまうシーンがある。
6銃身75mmガトリング砲
搭載機種:グフカスタム、グフフライトタイプ、ギラ・ズール
グフの中距離射撃能力の向上のためにシールドに直付されたカートリッジ式のガトリング砲。
発射時には本体外側に設置された排莢口から空薬莢が排出され、弾切れの際には銃身のみを取り外す事が可能になっている。
「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」の劇中ではグフカスタムが登場した終盤戦において使用され、連邦軍の量産型ガンタンクの破壊や戦闘中の牽制用として活躍した。
ビーム・ガトリング
搭載機種:百式改
両肩部のハードポイントに装着可能なガトリング砲。
当初はビームガンとガトリングガンが別々に存在していたがいつの間にか統合された。資料によってはガトリングガンポッドと記載されている。
外付け型・携行型バルカン砲 (その他) | |
ペーネロペー | ビームバルカン |
グフR35 | バルカンポッド |
コア・ブースターII インターセプトタイプ | 30mmガトリング砲 |
ヴァル・ヴァロ | 110mmバルカン砲 |
ドム・バラッジ | ガトリングキャノン |
ジム・ドミナンス | ガンターレット |
ジム・スパルタン | ミニガン |
大型ガトリング砲 | ドラッツェ改(重装備型) |
ガンダムに登場するバルカン砲の感想
今回は宇宙世紀ガンダムシリーズに登場した様々なバルカン砲をまとめてみました。
紹介した兵器は画像付きで紹介したかったという関係でテレビアニメや劇場版で登場したものがメインになりました。
登場回数の多い頭部バルカン砲が全体の印象としては強いですが、ガンダムNT-1の90mmガトリングやグフカスタムの6銃身75mmガトリング砲も印象に残る活躍をしていました。
作品別に見ると0083や第08MS小隊などではメカニック色の強くバルカン砲の発射シーンに迫力がありますね。
ガンダムの世界ではビーム兵器が主役なところがあるので登場機会は少ないですが、サブウェポン的な立ち位置だからこそバルカン砲が白兵戦においてアクセントとして効いて印象に残りやすいのかなとも思います。