機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争で登場した「ガンダムNT-1アレックス」の特徴やバリエーションをまとめてみました。
アレックスといえば一年戦争末期に登場したニュータイプ専用機として開発された高性能モビルスーツですが、ジオン軍の襲撃により最終的にはアムロ・レイの元に届く事がありませんでした。戦争終結後はしばらく放置されていましたが、後に改修され新たな機体として生まれ変わった経緯があります。
今回は歴代作品で登場したガンダムNT1の活躍や機体の特徴とパイロット、派生機を紹介したいと思います。
ガンダムNT-1アレックス
開発経緯
一年戦争当時の連邦軍はジオン公国軍の様なサイコミュ技術に遅れを取っていたが、開発計画にはNT専用モビルスーツが盛り込まれていた。
開発計画「G-4計画」は陸軍・海軍・空軍・宇宙軍が個別に新型MSを開発するものであるが、本機は「宇宙軍」のもとU.C.0079年8月に地上のオーガスタ基地で開発を行われ、同年11月には「RX-78-2」の実働データがフィードバックされた。
開発後は「北極基地」から中立コロニー郡であるサイド6の「リボー」コロニーに移送されるもジオン軍特殊部隊「サイクロプス隊」の襲撃により機体は中破、アムロ・レイのもとに届けられる事はなかった。
「RX-78-2」に比べスラスターの大型化・増設により推力が大幅に向上。全天周囲モニター・リニアシート、マグネットコーティング、フルアーマ化など当時の最先端の技術が採用されている。
「機体の特徴」
・操縦システム
ナビゲートシステムはニュータイプの反応速度に対応可能となった。また搭載AIをはじめ各種システムも「RX-78-2」のものより高性能化した事で、レスポンスや機動性・運動性が向上。
・コクピット
球体の脱出装置と全天周囲・リニアシートを搭載。「RX-78-2」とは違いコアブロックシステムは搭載されていない。
・マグネットコーティング
「RX-78-2」の実戦データ元に関節部にコーティング施行した事で運動性を向上させた。
・スラスター
プロペラントタンクとスラスターの一体化に加え、推進装置の増設により総推力は「RX-78-2」の55500kgから174000kgへと3倍以上に向上した。このスラスター推力により後年に登場した一部のモビルスーツよりも高機動を発揮する。
・チョバムアーマー
一年戦争末期に連邦軍内で進められていた「フルアーマーオペレーション」で開発された複合装甲。装着時の型式番号は「RX-78NT-1FA」。装甲が破壊されても機体へのダメージが抑えられる構造になっている。また重量増加に伴う機動性の低下をスラスター、バーニアの見直す事で補助している。劇中ではケンプファーのショットガンやチェーンマインからアレックス本体へのダメージを防いだ。
型式番号 | RX-78NT-1 |
頭頂高 | 18.0m |
本体重量 | 40.0t |
全備重量 | 72.5t |
装甲材質 | ルナチタニウム合金 |
ジェネレータ出力 | 1420kw |
総推力 | 174000kg |
センサー有効半径 | 5900m |
バーニア数 | 19 |
武装 | ビームライフル、90mmガトリング砲、60mmバルカン、ビームサーベル、ハイパーバズーカー、シールド |
搭乗者 | クリスチーナ・マッケンジー |
劇中での活躍
第1話では分解状態で北極基地にてサイド6「リボー」コロニー輸送直前にサイクロプス隊に襲撃を受けるも打ち上げに成功。
第4話ではリボーコロニー内で組み立てとテストパイロットにより最終調整が行われたが、再度サイクロプス隊の襲撃を受ける。
ケンプファーとの戦闘では頭部アンテナ、チョバムアーマーを損傷しながらも撃破した。
最終話ではサイクロプス隊の生き残り「バーナード・ワイズマン(バーニィ)」が搭乗するザクII改との戦闘でこれを撃破するも、中破した事によりその後の実践投入は見送られた。
パイロット
クリスチーナ・マッケンジー
声優:林原めぐみ
愛称はクリス。21歳。
地球連邦軍宇宙軍中尉でNT専用のMS開発を行なっているG-4部隊のテストパイロット。
高校卒業後のU.C.0076年9月に連邦宇宙軍士官学校入学。U.C.0078年に首席卒業。配属同時に操縦技術の才能を見せつけたが、本来はコンピューター技術者である。
宇宙軍統合技術研究本部麾下の試験部隊を経て再編成された「G-4部隊」に入り、アレックスのテストパイロットになった。
アレックスが故郷であるリボーコロニーへ輸送されると同時に自身も里帰り、アルフレッド・イズルハ(アル)と再会する。
バーニィを泥棒と間違えてバットで気絶させる事もあったが、その後はお互いに好意を抱く様になる。(彼がサイクロプス隊の一員とは知らない)
第4話のケンプファーとの戦闘では銃撃戦の中を掻い潜りアレックスのコクピットまで辿り着くと、MSを起動させケンプファーを撃破。
その後はザクII改が搭乗したバーニィと戦闘の末に撃破するも、自身も重症を負いそのまま終戦を迎えた。
結局、最後までザクII改のパイロットがバーニィである事、アルがサイクロプス隊に関わっていた事を知る事なく地球へ赴任した。
コテヅ
フルアーマー・アレックス (シン・フェデラル仕様)に搭乗。強化人間の試作型。戦争孤児だったが、強化実験の被験者になる。
強化人間の計画実用に目処が立った事から用済みとなり、イットウの対決に敗れた際にリチャードによって粛清された。
その後は強化によるマインドコントロールが解けBGSTと行動を共にした。
アレックスの派生機一覧
歴代ガンダム作品に登場した様々な種類の派生機を紹介します。
ガンダムNT-1・FA
「フルアーマー・アレックス」と呼ばれる事もある。
「チョバムアーマー」を装着した形態で各所にスラスターやバーニアの見直しにより機動性を補っている。この状態では「90mmガトリング砲」使えないが、チョバムアーマー状態を解除する事で使用可能になる。
第4話のケンプファーとの戦闘ではショットガンやチェーン・マインからのダメージを防いだ。
個人的に劇中で見たフルアーマ系ガンダムの最初の機種です。チョバムアーマーはスパロボで馴染みがありましたけど、まさかアレックスが装着しているとは最近まで知りませんでした。
型式番号 | RX-78NT-1FA |
頭頂高 | 18.0m |
全備重量 | 95.0t |
装甲材質 | ルナチタニウム合金 |
ジェネレータ出力 | 1420kw |
総推力 | 216000kg |
センサー有効半径 | 5900m |
バーニア数 | 13 |
ガンダムAN-01“トリスタン”
「機動戦士ガンダム Twilight AXIS」に登場。
一年戦争末期にサイド6「リボー」コロニーの戦闘で中破した「ガンダムNT-1」はルナツーで修復作業が行われていたが、その最中に戦争は終結、ホワイトベース隊も解散したため作業が完了しないまま放置されていた。
だが4年後にオーガスタ研究所へと移送され、ティターンズの調達したパーツで強化・修復される。
その後は強化人間育成のために使用されるも、グリプス戦役中に研究所が閉鎖された事により、「サナリィ」へと移管されると同時に宇宙へ移送された。
移送中に「クァンタン・フェルモ」と「ヴァルター・フェルモ」の兄弟が脱走の為に機体を強奪。
各地を転々した後にロナ家に渡った事で「ブッホ・ジャンク社」の改修を受け「トリスタン」と命名され、同社の私兵集団「バーナム」の所属となった。
ジェネレータ出力が上がっているので攻撃力は上がっていると思いますが、本体重量と推力的を見てみると実はNT-1アレックスの方が機動力が高かったりします。
型式番号 | RX-78AN-01 |
頭頂高 | 18.0m |
本体重量 | 45.0t |
全備重量 | 59.5t |
装甲材質 | ルナチタニウム合金 |
ジェネレータ出力 | 1920kw |
総推力 | 114000kg |
武装 | ビームライフル、90mmガトリング砲、60mmバルカン砲、ビームサーベル、シールド |
搭乗者 | クァンタン・フェルモ |
ガンダム・トリスタン (フェイルノート)
「機動戦士ガンダム Twilight AXIS」に登場。
ブッホ・コンツェルンが開発したガンダムAN-01″トリスタン”の試作型攻撃ユニット「フェイルノート・ユニット」を装備した機体。
攻撃・防御を半自動型のインコムによって行い、パイロットは機体のコントロールに専念させるというコンセプトで開発された。
頭部背面にはツインアイタイプのセンサーパックを装備、後のビギナギナでも採用されるフィン・ノズルを搭載している。
推力が約2倍になっているので通常のトリスタンやNT-1アレックスよりもかなり機動力が上がりました。後年の機種なのでやはりアレックスよりかは機動力が上であって欲しいです。
型式番号 | RX-78AN-01FA |
全高 | 20.6m |
頭頂高 | 18.0m |
本体重量 | 45.0t |
全備重量 | 60.4t |
ジェネレータ出力 | 2488kw |
総推力 | 230600kg |
武装 | インコム |
搭乗者 | クァンタン・フェルモ |
クレヴェナール
ガンダムAN-01″トリスタン”が専用の巨大アームドベースと合体した形態。拠点制圧を目的に開発されている。
巨大アームドベースはバーナムが秘密裏に開発した。
「ガンダム試作3号機デンドロビウム」同様に、メガ・ビーム砲や武装コンテナを装備する。
型式番号 | RX-78KU-01 |
武装 | HSD・キャノン、メガビーム砲、5連装ビームポッド、マイクロミサイルポッド、大型ビームサーベル、大型クロー |
搭乗者 | クァンタン・フェルモ |
ガンダムNT-1 (シン・フェデラル仕様)
反連邦組織「シン・フェデラル」が強化装甲と共に投入、増加装甲以外にも全身が赤に塗装されている。
ネティクス
漫画「機動戦士ガンダム カタナ」で登場。初登場は「SDガンダム G-GENERATION」シリーズ。
地球連邦軍が開発したニュータイプ専用MSでガンダムNT-1を発展させた機体である。当初はオーガスタ研究所で開発されていたが、後にムラサメ研究所に引き渡された。
サイコミュを搭載し背部に有線式ビットを装備するがテストパイロット不足により実験データはあまり取れていない。
ムラサメ研究所から取り寄せたサイコミュ機器で改修されたネティクス(BGST仕様)も存在する。
NT専用プロトタイプガンダム
出典元:https://gunpla-beginning.com/
「MSV90」「機動戦士ガンダム大全集 PartII」で登場。
ムラサメ研究所が開発したガンダムNT-1の発展型モビルスーツ。
機械的な側面で追従性を向上させたNT-1とは異なり「サイコミュシステム」を搭載した事で脳波による機体制御が可能になった本格的なニュータイプ専用機。
サイコミュ搭載により大型化した事による機動性の低下を補うためにスラスターが増設されている。だが実機は開発されなかったためペーパープランとなった。
型式番号 | MRX-002 |
全高 | 30m以上 |
武装 | 有線式ビット |
スペック | 型式番号:RX-78NT-X (MRX-003) |
武装 | 有線式大型ビット、2連装ビームランチャー、マシンガン、60mmバルカン砲、ビームサーベル、シールド |
アレックス増加装甲試験型
旧キットガンプラの「1/144 RX-78NT1 ガンダムNT-1」で初登場。
FSWS計画の一環としてガンダムNT-1に追加装甲・増加兵装を施したMS。チョバムアーマーに開発のセカンドプランとして「NT-1」2号機をベースに開発された。
型式番号 | FA-79-X / FA-78-NT-1 |
装甲材質 | ルナチタニウム合金 |
武装 | 2連ビームキャノン、90mmガトリング砲、60mmバルカン砲、胸部ミサイルベイ、ロケット砲、小型シールド |
プロトタイプG-Ⅳ
ガンダムエース版コミカライズの『機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争』に登場。「G-Ⅳ計画」のうちの1機。「アレックス」「G-IV」「試作型アレックス」「プロトタイプG-Ⅳ」など様々な名称で呼ばれている。
ガンダムNT-1と比較して頭部バルカンポッド、増加装甲やヘリウムコアと思われるパーツが存在する。
画像は「G-Ⅳ計画」において空軍主体で開発されたGT-FOUR。
ガンダムNT-1プロト
模型雑誌「モデルグラフィックス」で登場。ガンダムNT-1のロールアウト直後の姿である。
「宇宙世紀オールガンダムキーホルダー Ver.2.0」では「クリスチーナ・マッケンジー専用ガンダムアレックス」というオリジナル配色の機体が登場する。
ガンダムNT-2
出典元:https://gumpla.jp/hg/953971
模型雑誌「B-CLUB」で登場。外観haNT-1と変わらないものの全天周囲モニターでは通常のコクピットになっている。
ガンダムNT-3
出典元:http://m-pe.tv/
模型雑誌『B-CLUB』で登場。プロトタイプガンダムを模倣した配色になっている。
ゲーム「機動戦士ガンダム ギレンの野望シリーズ」で出てきたプロトタイプガンダムを思い出します。
SDアレックス
チョバムタンク
出典元:https://k2o.link
ガンプラ「元祖SDガンダム」「SDガンダム BB戦士」で登場した陸専用支援メカ。ガンダムNT-1から分離したチョバムアーマーやシールドで構成されている。
SDガンダムのプラモデルは昔からありましたね。
スーパーロボット大戦
Zガンダム、ZZガンダム、νガンダムなどが登場する本作では性能が低めに設定されているが、強化次第では活躍も可能。
SDガンダム Gジェネレーション
アムロやクリスの搭乗機として使用可能。
SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語
アルガス王国の騎士団長騎士アレックスとして登場。SDガンダムのカードダスが凄く懐かしいです。他にも「黄金の騎士 百式」「風騎士ガンダム マークII」などがありました。
ガンダムNT-1アレックスまとめの感想
ガンダムNT-1アレックスと派生機などをまとめてみました。
アレックスと言えばスパロボでお馴染みの「チョバムアーマー」を装着したガンダムで、映像作品として登場するフルアーマ化されたガンダムでは最初のモビルスーツになります。
スペックを見てみると一年戦争の中ではかなり優れた機種ですが、ゲームでは能力が低く設定されがちなのが残念です。本体重量で計算した「推力重量比」の機動力だけでいえば実はガンダム試作1号機やリックディアスよりも高機動なのです。(意外)
やはりニュータイプ専用機だけあって機動力は相当なものであると思いますが、これだけの機動力を持っていればチョバムアーマーでFA化しても一年戦争クラスのMSであれば簡単に機動力で凌駕出来そうな気がします。
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」の最終話では破損してしまいましたが、コロニーの中ではビーム兵器は使えないですし、機動力があるので地上よりも宇宙の方が能力を発揮出来たのかも知れません。もしアムロの手に渡っていたらどんな活躍をしたか気になります。