ドラゴンクエスト ダイの大冒険「ヒムの復活・キングマキシマム編」をまとめてみました。
前回の「アバン復活・超魔ゾンビ編」ではアバンの復活によりポップとハドラーは奇跡的に絶対絶命の状況から脱しました。またバーンパレスの下では仲間から見捨てられたザボエラが奥の手である超魔ゾンビを合成して暴れましたが、ロン・ベルクの必殺の一撃で決着。
今回はヒュンケルにとって因縁の男が復活、そしてバーンパレスの守護神が立ちはだかります。
ヒムの復活・守護神マキシマム編 各話リスト
第78話「地獄からの生還者」
第79話「銀髪のヒム」
第80話「チェックメイト」
因縁の対決
ザボエラの最期
ロン・ベルクの最強の必殺技「星皇十字剣」の前に敗れてしまった超魔ゾンビ。
そして命からがら脱出するも体力・魔法力共に尽きてしまったザボエラ。
だが、目の前にはかつての同僚、獣王クロコダインの姿があった。
ザボエラは考えた・・・この場を凌ぐために必死に考えた・・・。
クロコダインのグレイトアックスが今まさにザボエラを捉えようとした、その時だった。
「クロコダイン、お前のいう通りもうワシに策は無い・・・このままお前に殺される以外に何も策は無い・・・」
他の六大軍団長に比べて自分は余りに非力・・・そうつぶやくザボエラ。
クロコダインの同情を引こうと演技をする間に自らの爪に猛毒を仕込むザボエラ。
クロコダインが手を差し伸べた瞬間、ザボエラは今だと言わんばかりに飛びつくも斧の下敷きに。
クロコダインは騙されたフリをしていた。
今までザボエラに騙され続けたクロコダインだが、そのおかげ一つ物を知った。
クロコダイン「この世には本当に煮ても焼いても食えぬ奴がいる事をな!!!!」
右手に闘気を込めるクロコダイン。
ザボエラ「待ってくれ!!クロコダイン!!!!!!!」
命乞いをするザボエラだったが時既に遅し。
獣王会心撃の直撃を諸に喰らったザボエラは呆気なく力尽きた・・・。
ロモス王国のダイとの戦いで入れ知恵をした彼ですが、クロコダインに倒されるなんて皮肉なものです。
灰になって死んでいった息子ザムザとは違い、溶けていってしまう所がなんとも言い難いですね。まあ、ザボエラには相応しい最期だと思います。
「六大軍団を結成した時はザボエラも絶大な魔力で一目置かれていた」
「だが出世欲に目が眩み他人の力ばかり利用した事で変わってしまった」
「ダイ達の様に自らの力で強くなろうとする気持ちが少しでもあればまた違っていたかもしれない」
自分だって一番手でダイ達と戦っていなければどうなっていたか・・・ザボエラは正真正銘のクズだったがそれだけは哀れだ・・・とクロコダイン。
バダック「いい奴じゃなお前さんは、だがなコイツとお前さんとは違う」
バダック「ワシの誇るべき友人、獣王クロコダインは例え敵のままだったとしても、己を高める事に命を賭ける尊敬すべき敵であったろうとワシは思うよ」
クロコダイン「じいさん・・・ありがとう」
二人の信頼関係がよく分かるシーンで良い感じです。
生まれ変わったヒム
魔王軍のモンスター相手に戦っていたヒュンケルの前に一人の男が現れる。
ハドラー親衛騎団にして主人同様、アバンの使徒を倒す事を生きがいにした男・・・ヒム。
彼はブラッディースクライドで核(コア)を貫かれ、バーンパレスから落下したはず。
なぜ生きているんだ・・・。驚きを隠せないヒュンケル。
彼は暗黒の世界に落ちていく間、ハドラーや仲間達の雄叫びが聞こえたんのだ。
ハドラーが死に自分達の全滅を知ったヒムは心の中で思った、何としてでも生き延びてハドラーや仲間達の意地を見せたいと。
アバンの使徒に一矢報いらないと死んでも死にきれなかったのだ。
「お前らみたいなクズ野郎が偉そうにはハドラー様を侮辱しやがった事が最高にゆるせねえ!!!!!!!!」
ヒムに銀髪が生えた。
魔物達にハドラーを侮辱された事で怒り狂ったヒムが主人と同じ長い髪が生えたのだ。
「お前は今の俺に一番似ている」
ヒムの脳裏にハドラーの言葉が蘇った。
このシーンはなんとなくスーパーサイヤ人を彷彿とさせますね。
「クリリンのことかーーーーーー!!!!!!」
悟空がフリーザに対して怒ったあのシーンが思い出します。
極度のパワーアップを果たしたのか銀髪になったヒムは魔界の魔物を圧倒、一瞬で蹴散らした。
もうかつてのヒムではない・・・空の技、虚空閃も効かない、体はオリハルコンでも生命を宿した一人の戦士になっていたのだ。
因縁の対決が今ここに繰り広げられようとしていた・・・。
勇者達の助っ人
一方、バーンパレスの真下ではチウがダイ達の助っ人の確保に乗り出していた。
魔界のモンスターとの戦いで傷つきクタクタになっていた戦士達だったが、チウの前向きなその姿を見て元気が出た様子。
チウ以外にもう二人仲間が欲しい・・・一人はクロコダインに決まった。
エイミ「(ワタシ!、ワタシ!、ワタシ!、ワタシ!、ワタシ!、ワタシ!!)」
後から猛烈なプレッシャーをかけてアピールをするエイミ。まるで暗黒闘気でも発しているかの様なオーラである。
回復役がもう一人欲しかったが、チウは「ビーストくん」に任命。
何としてでもヒュンケルの力になりたかったエイミだったが、メルルの介抱の事もあり断念する事に。
こうしてバーンパレスに乗り込むのはクロコダインと獣王遊撃隊に決まった。
このシーンは原作でも結構でも面白かった思い出があります。
バーンパレスに辿り着いたチウ達。
ここは以前ダイとハドラーが決闘を行い、そしてアバンと再会した場所。
3人を運んだパピィ、ドナドナ、バタコはもうクタクタ。
特にクロコダインを運んだパピィはよくバーンパレスまで飛べたなという感じ。
強くは無いが部下から慕われる器の大きさにチウに感心するクロコダイン。
真の戦士
パワーアップして蘇ったヒムにヒュンケルは手も足も出なかった。
今のままではどうやっても勝てない・・・ヒュンケルの意識がなくなりかけた頃、彼の心に誰かが問いかけてきた。
「ヒュンケル、ヒュンケル、さあとっとと立っちゃって下さい、ヒュンケル」
目の前にはアバン先生がいた。
力の全てを出し切っての敗北であれば、恥じることはない。でも今のヒュンケルにはまだやれる事が残っている。
力の全てを出し尽くして思いっきり負ける・・・そうしないと今の自分より強くはなれない。
「最後の最後まで己の力を出し尽くして戦い抜く、それが真の戦士」
アバンの教えを思い出した。
師匠の言葉で目覚めたヒュンケルは立ち上がる。
かつてアバンとポップが命を捨ててでも敵を討とうとした時の覚悟がヒュンケルにも芽生えていた。
ヒムを背後で押さえ込みながらグランドクルスを放とうとするヒュンケル。
彼は自らが犠牲になる覚悟で最強の必殺技を使おうとしていた。
だが先の戦闘でグランドクルスを2発撃っていたヒュンケルは闘気を溜めるのに時間がかかりこれが相手に隙を与えてしまう結果になった。
ホワイトガーデン
体力、魔法力共に全開になったダイ達3人。
アバンとレオナはバーンパレスのトラップを潰しにいって以来帰ってこない・・・。
何か不穏な空気が辺りに漂った。
ポップ「そう言えばこういう悪の本拠地に入って急激に敵が現れなくなるのってあまりいい事じゃ無いんだよな・・・」
「そうだ、お前の知る通り。即ちそれは絶対的に信頼を置ける強者が守りに付いている証、ザコの番人はもはや不要であるという事だ」
ポップ「ミストバーン・・・!!」
ミストバーン「ここはホワイトガーデン、バーンパレスの中心部とも言える場所だ」
ミストバーン「バーン様の前と続く中央の塔、天魔の塔へと繋がる宮殿である。このバーンパレスにおいて最も美しい場所なのだ」
ポップ「なんだよ急に観光案内かよ・・・!!」
ミストバーン「フフッ、あの世へ行く前に自分達の死に場所ぐらい知りたかろうと思ってな」
ダイ、ポップ、マァムのみが揃ってミストバーンと対面するのはこれが初めて。
大魔王バーンの側近にして最も謎多き男がこの場所でベールを脱ぐ事になる。
拳に全て込めて
鎧化(アムド)を解除したヒュンケル。
ヒムと勝つためには全てを捨てて背水の陣に追い込むしか無かった。残りの闘気を全て拳一点に集中して戦う覚悟を決めたのだ。
拳に闘気を込めたヒム。
闘気を帯びたオリハルコンは生半可な威力ではない、ヒム曰く伝説の剣を持ったダイやハドラー相手でも拳一つで勝負出来るという。
その名も「オーラナックル」
ヒム「お前を倒す事、それが生まれて初めて持った俺の生きがいだった。最初に見た時からコイツしかいねえと思っていた」
ヒム「お前のすました顔を恐怖に変えてやる事だけが俺の夢だった!!」
ヒムはヒュンケルに惨めな死に方はして欲しく無かったのだ。
だがヒュンケルは言う。
最初は無様に生き残るぐらいならいっそ死んだほうがマシ・・・そう思っていたが、今は違う。
多くの仲間達が目を覚ましてくれた、真の戦士ならば使命を果たすまで最後の最後まで諦めないという事を。
どんなに無様でも一向に構わない・・・彼はそう言い切った。
ヒム「大した男だったな、やっぱりアンタは・・・」
互いを尊重しあった者同士が真っ向勝負に出る。
ヒム「全て吹き飛べ!!!!この俺の燃える拳で!!!!」
ヒム「受けろ!!!!オーラナックル!!!!!」
全身全霊を込めたヒムの一撃がヒュンケルの顔面をとらえた。
・・・かに思われた。
だがヒュンケルの拳の方がほんの僅かに早くヒムの体に突き刺さっていたのだ。
これにて決着あり。誇りを賭けた男同士の戦いはヒュンケルに軍配が上がった。
アバン流奥義「無刀陣」を彼なりに応用した究極の捨て身技だった。
武器も呪文もなく拳だけでオリハルコンを砕くヒュンケルの強さは波ならぬものがありますね。倒れても死の淵から直ぐに立ち上がり最後の最後で形勢逆転に持ち込む・・・死亡フラグをぶち壊すまさに不死身の男です。
勝者らしくトドメを刺せというヒムだが、ヒュンケルは手を差し伸べる。
ヒュンケル「もし勝者に命を奪う権利があるとするならば、俺はお前の死を奪う」
ハドラー親衛騎団の命が宿っている・・・だからお前には仲間達の分まで生きる義務がある。
この言葉にヒムは涙を流した。
かつてマァムに手を差し伸べられたヒュンケルですが、こうしてヒムに手を差し伸べているのが感慨深いです。
最後の最後でダイ達の仲間になったハドラーと同じく、ヒムにも人間に通じる心がありました。
バーンパレスの守護神
オリハルコンの駒
ヒュンケル達の前に突如現れたオリハルコンで出来た敵軍団。
そしてそれらを率いる王の駒「キング マキシマム」。
バーンパレス最大にして最強の守護神だという。
マキシマム「キングスキャン!!!!」
ヒュンケルのHPは残りたったの21。
あと一撃で倒せると確信するマキシマムであったが、事はそう上手く行く事は無かった。
キングの命令でヒュンケルに襲いかかるボーン達。
これでヒュンケルは終わりかに思われた。
ボーンを素手で砕いたヒュンケル。
ヒム「あの野郎・・・やりやがったな」
ヒュンケル「思った通りだ・・・コイツは・・・ヒムとは違う!!」
同じ様にナイト、ルークもヒュンケルに襲いかかるもヒュンケルの拳で玉砕。
ハドラー親衛騎団はみんな主人ために命を賭ける忠誠心を持った手強い奴らだった・・・でもコイツらは違う、ただの駒、言いなりの人形だとヒュンケル。
再度キングスキャンを試みるマキシマムだがヒュンケルのHPはたったの1ポイント。
だがビショップの一撃が決まったのにヒュンケルは死なない・・・マキシマムは恐怖に震えていた。
ヒュンケル「今にも燃え尽きそうな俺の命だが・・・人形如きに取らせてやる程安くはない!!!」
ヒュンケルを突き動かしている命を超える力・・・あれが闘志なんだ・・・ヒムは感心する。
怖気ついたマキシマムはボーンに守りに付くよう命令。
だが瞬間的に移動したヒュンケルの攻撃にマキシマムもダメージを追う。
このままでは勝てない・・・そう考えたマキシマムはヒュンケルの過去のデータを検索し始めた。
もう一人の因縁の男
突如ボーン達が動き出した。
ヒムを抱えバーンパレスから落とすボーン、だが間一髪の所でヒュンケルがヒムの腕をキャッチする。
その直後にマキシマムの右足がヒュンケルを踏みつけた。
ヒュンケルには自分の為に仲間を犠牲にする事が出来なかった・・・それを逆手に取ったマキシマムの作戦。
ヒム「そんな・・・俺を仲間だと・・・」
ヒュンケル「そうか・・・俺はマァムと同じ事をしたのか・・・この俺に・・・そんな事が・・・」
ヒュンケル「すまん・・・お前だけでも救いたかった・・・力及ばなかった・・・だが情けや愛の心で破れるのなら・・・むしろ誇らしい・・・」
マキシマムがトドメを刺そうとしたその時だった、絶体絶命のヒュンケル達の前にあの男が現れた。
ちなみにこれと似たシーンをどこかで見た事がありますよね。
マキシマム「だ、誰だーーー!!こんな大それた真似をする奴はーーー!!」
「大それた真似?俺にとってはいつもの事だ、卑劣な戦い方をする外道には例外なくその魔槍をぶちこんでやるのが流儀でな」
マキシマム「き・・・貴様!!名を名乗れ!!!!」
「陸戦騎ラーハルト、推参!!」
ヒュンケルにとってかつての宿敵がまた一人蘇った。
ラーハルト「ハーケンディストール!!!!!」
ラーハルト最強の必殺技でボーンは全滅。
かつてヒュンケルが喰らった時とは違い、オリハルコンにも関わらずあっさり真っ二つに。
自分が高速で切り刻まれた事に気づいていないマキシマム。
ヒムの指摘にも心理的トラップだと思って全く信じない様子。
マキシマム「そんな不確実な情報に踊らされる吾輩ではない!!」
マキシマム「では、さらば!!また会おう!!」
そう言って立ち去った直後の事だった。
飛び上がった瞬間、マキシマムの体が真っ二つに割れ爆散。
ヒム「正真正銘のバカだぜ・・・あのキング」
ハドラー様の部下に生まれてよかった〜と心の底から思うヒム。
そしてヒュンケルと睨み合うラーハルト・・・物語は新たな展開を迎えようとしていた。
ヒムの復活・キングマキシマム編の感想
今回はついにヒュンケルとヒムとの因縁の対決に決着が着きました。
ヒム戦では誇りを賭けた者同士の熱い戦いという感じでしたが、マキシマムとの戦いではそれまでの正々堂々とした戦いとは一転して、卑怯な戦法でヒュンケルが追い詰められていく事から、ヒムとマキシマムの対比が色濃く描かれているなという印象です。
ラーハルトが魔槍で敵の頭をぶち抜くシーンはまさに「バラン編」に登場した「海戦騎ボラホーン」がポップを人質に取ってヒュンケルを倒そうとしたシーンを彷彿させます。
ヒムは根っからの悪ではなく、ひたすら宿敵を倒すだけに闘志を燃やすという意味ではハドラーと同じですね。まさにハドラーの生まれ変わりと言っても過言では無いと思います。
それにしても今回はヒュンケルの強さが存分に現れた戦いでした。
「最後の挑戦・決戦ハドラー編」ではダイ、ポップ、マァムの熱い闘いが繰り広げられますが、ヒュンケルだけはあっさり終わってしまった感じがあるので、今にしてみれば伏線だったんだなと思いました。今回この様な形で一騎討ちを見られて良かったと思います。