日本で最も歴史が深く文化財も豊富にあり魅力的な観光地が多く存在する奈良県。
そんな奈良県ですが、歴史的に見てみると「奈良県」という県名は本当に相応しいのか?と個人的に疑問に感じる時があります。県名が変わればなあ・・・とか思ったりした事もあります。
今回は奈良という地名の由来、そして奈良県という県名に関する疑問とその理由、もし改称するのであればどの様な名前が相応しいかなどを語ってみました。
あくまで個人的な疑問に過ぎませんが、共感して貰えれば嬉しいです。
何故「奈良」という地名なのか?
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そもそも「奈良県」「奈良市」の「奈良」という地名はどの様な経緯で付けられたのかという事ですが、これには諸説あります。
・崇神天皇の時代に兵士達が草木を踏みならした事から那羅山(ならやま)と名付けられた
・古代において住居に相応しい平地(なるじ)、平(なら)という意味
・古代の朝鮮で国を意味する言葉から(なら)と名付けられた
また「ナラ」には那羅・奈良・奈羅・楢・平城・乃楽・寧楽などの漢字が当てはめられ、奈良時代には「平城(ナラ)」が官用として主に使われており、以降の時代では「奈良」が定着していきました。
ちなみに「平城宮跡」では「奈良京」と描かれた木簡が出土している事、「奈良京」と書かれた最古の正倉院文書(767年)が存在する事などから、平城京(現在の奈良市)が都だった奈良時代には既に「奈良」と呼ばれていた事が分かります。
出典元:asahi.com/articles/DA3S13667349.html
奈良京と書かれた木簡が平城宮跡で発見されている。
奈良県という県名は歴史的に相応しいとは言い難い
タイトルで「何言ってんの?」と思われた人もいるかも知れません。
これはあくまで当方が個人的に抱いた疑問に過ぎません。何故県名を変えて欲しいか?理由を説明したいと思います。
県庁所在地の地名が県名になる例
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奈良県に限らず、県庁所在地がある場所の地名を都道府県名にしている地域はいくつか存在します。
大阪市に府庁がある「大阪府」
千葉市に県庁がある「千葉県」
福岡市に県庁がある「福岡県」
などが挙げられます。
ですが奈良県の場合は、奈良市に県庁があるからと言って県名を「奈良県」としてしまうのは些か疑問があります。
奈良県は多くの人が知っている通り「日本の始まりの地」であり古代「日本の中心地」であった場所です。
奈良県内の各地域には歴史的な意味を成す地名が付けられる事はよくありますが、「奈良市」を意味する「奈良」を用いて「奈良県」という県名になってしまうのは疑問ですし、県を名乗る名前として相応しくないのでは無いかと個人的に考えています。(次で説明します)
歴史的に見る奈良県の各地域
出典元:
mainichi.jp、jalan.net
nara-sekaiisan.com
yamatoji.nara-kankou.or.jp
・奈良県の歴史
奈良県の歴史をさらっと触れてみると古墳時代以前に「大和朝廷(大和王権・大和政権)」が開かれ、飛鳥、奈良へと都が遷っています。
古墳時代には現在の桜井市にある三輪山の麓に大和朝廷の宮都が多く置かれました。そして大和朝廷の勢力は長い年月をかけて徐々に拡大していきました。
飛鳥時代には飛鳥とその周辺地域に都が置かれ中央集権国家の基礎が確立、そして710年に現在の奈良市である平城京へ遷都しています。
ちなみに奈良県には「大和」という別称が存在する事も皆さんはご存知かと思います。
「大和」というのは平城京遷都後に付けられた名前で、元々の「大和(倭)」は奈良盆地の東南部地域の事を指します。(明日香村・橿原市・桜井市)
・県名が相応しく無い理由
簡単になりましたが、上記の歴史的な事実を照らし合わせてみると、日本の始まりの地として国家の礎を築いた場所は奈良市では無いという事が分かります。
何故「奈良」が相応しく無いかを言葉を選ばずに言えば「日本の原点である地域を差し置いて奈良県と命名するのはおかしい」という事です。
奈良市の平城京は確かに有名で立派な都でしたし、天皇が奈良を離れた後には「南都」と呼ばれ中世まで仏教勢力が栄えていました。
ただ国の黎明期・基礎を作った明日香(飛鳥京)・橿原(藤原京)・桜井(大和朝廷時代の宮都)と比べると歴史的な重要度からして奈良県を代表する地域としては弱いと個人的に思っています。
どの様な県名が相応しいのか?
「奈良県」の代わりとなる県名を考えてみます。先述の通り、奈良市はあくまで奈良時代の「平城京」が置かれただけに過ぎません。
国家の基礎を作ったという歴史的な重要性から考えると、奈良県の歴史は古墳・飛鳥時代の方が遥かに比重が大きいのです。そしてその時代の舞台となった地域名こそが大和の変わりとなる県名を名乗る資格があると思うのです。
当方が具体的な県名を挙げるとすれば「大和」もしくは「飛鳥」でしょうか?
「大和」についてはそのままですね。皇室・政権の始まりの地を意味します。明治廃藩置県まで呼称された「大和国」をそのまま県名にするのは個人的に面白いと思っています。
「飛鳥」については本家本元の「大和」の地ではありませんが、桜井市の隣ですし、日本の中央集権体制が整えられた重要な場所なので県名を名乗るには相応しいと個人的に思っています。
県なのか市なのか分かり辛い
出典元:
photohito.com/photo/10542018/
photohito.com/photo/orgshow/10343022/
「奈良」って言われてもどこを指しているのか分かりづらいと思いませんか?
皆さんは「奈良」と聞くとどこを思い浮かべますか?
「奈良県」の事なのか? 或いは「奈良市」の事なのか?正直分かり辛いですよね?
「奈良の歴史」と言われても「奈良県全体の歴史」なのか「奈良時代」の事なのか分かりずらいですよね?
奈良県って地域ごとに歩んだ歴史が違うので「奈良県」なのか「奈良市」なのかで全く意味が異なってくるのです。
この様な理由もあって個人的には県名を変えて貰えたらかなり嬉しいのですが・・・まあ無理だと思いますが。
「大和県」「飛鳥県」も良いと思いますが、「県」を止めて「飛鳥」とか「大和国」とかになったらカッコいいのになと妄想しています。
飛鳥ナンバーの存在意義
出典元:https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/68532
これまでは奈良県の自動車ナンバーは「奈良ナンバー」のみでした。
ところが、新しい自動車ナンバー「飛鳥ナンバー」が2020年(令和2年)5月11日に交付されました。
ご当地をアピールする狙いがあったと思われますが、個人的に考える飛鳥ナンバーの位置付けとして奈良盆地北部の「奈良エリア」と南部の「飛鳥・藤原エリア」をそれぞれ歴史的に尊重する役割があったと思います。
「奈良」という地名は本来は「奈良市」を意味しています。
県名がそうである様に奈良県に至っては全ての地域で奈良を名乗るのはやはりおかしいと思うのです。
奈良市と明日香村・橿原市・桜井市など各々の地域で歴史があり文化が花開いた経緯からして、奈良県に関しては自動車ナンバーも分けるべきだというのが当方の考えです。
奈良県は何故「奈良」なのかについて感想
奈良県の県名に対する疑問を投げかけてみました。
今回の問題はずっと前から思っていたのにも関わらず他の記事作成に夢中になっていたので表沙汰にする機会がありませんでした。短い記事ですがやっと言いたい伝えられた思います。
個人的には歴史的な経緯からいくと改称はありだと思います。
名称は「大和」「飛鳥」のどちらかが相応しいと思っていますが、とりあえず「奈良」県という名前はちょっと違うんじゃ無いかという事で問題提起してみました。
ただ最後に言わせて頂くと当方は「奈良」という名前・場所は嫌いではありません。
「奈良」という字体からして綺麗で穏やかなイメージがありますし、古都として歴史深く、威厳さえも感じられる名前だと思います。
奈良市という場所は世界遺産「古都奈良の文化財」が醸し出すかつての天平文化の趣と街の一体感が素晴らしいと思います。
魅力的な飲食店が立ち並ぶ奈良町、猿沢池・荒池から眺望する五重塔、西ノ京の大池から眺望する薬師寺の東西塔、若草山から見る奈良市街の夜景、復元整備された平城宮跡、苔の美しい唐招提寺と秋篠寺、古刹をより強く感じさせる元興寺・新薬師寺・白毫寺など、国際文化観光都市である奈良市には多くの魅力が詰まっています。
ただ奈良県全体の歴史を考えると「飛鳥」や「大和」の方が県の名前を名乗るには相応しいのではないか?思ったので、今回この様な記事を書く事になりました。