ガンダムシリーズで登場した大気圏突入用装備を紹介したいと思います。
地球と宇宙を舞台にする事の多いガンダムシリーズですが、特にテレビアニメ版などの長編作品では地上と宇宙空間を往来するシーンも多く、大気圏突入は作中において地上へ辿り着くための重要なイベントの一つと言えると思います。
今回は宇宙世紀シリーズで登場した大気圏突入装備を5つ紹介。実際の突入シーンの画像やそれぞれの特徴などをまとめてみました。
宇宙世紀シリーズの大気圏突入装備まとめ
宇宙世紀ガンダムシリーズで登場した大気圏突入用の装備を5つ紹介します。
それぞれの活躍シーンにも解説してみました。
耐熱フィルム
登場作品:「機動戦士ガンダム」
腰部に搭載された耐熱フィルムカプセルに収納された大気圏突入用装備。名前の通り全体を特殊なフィルムで覆うことにより摩擦熱による機体の溶解から保護する事が可能になっている。
「機動戦士ガンダム」の第5話では大気圏に突入した「ガンダム」が下半身(Bパーツ)から耐熱フィルムを取り出し摩擦熱に耐えながら地上へ無事に辿り着くシーンが存在する。
なお、この装備はガンダムのみならず、同じくV作戦により開発された「ガンキャノン」「ガンタンク」にも搭載されている。
ちなみにガンタンクに至っては手形のマニュピレーターが存在しないため、どの様にして耐熱フィルムを取り出すのかは不明。
シールドで大気の摩擦熱に耐えていたガンダムだが、降下中マニュアルで大気圏突入システムがある事を知る「アムロ・レイ」。
アムロがコクピット内のボタンを2つ押すと、ガンダムは大気圏突入用の姿勢制御に入り、下半身パーツから耐熱フィルムを取り出す。
下半身パーツから耐熱フィルムを取り出すシーン。
耐熱フィルムを全身に覆うガンダム。直後に装甲温度が低下がみられた。
耐熱フィールド
登場作品:「劇場版 機動戦士ガンダムⅠ」
劇場版「機動戦士ガンダムⅠ」で登場した大気圏突入用の装備。
「耐熱フィルム」と同じく下半身パーツ部分から冷却風を機体全体に吹き付ける事により「耐熱フィールド」を生成。これにより大気圏突入時の摩擦熱を相殺する事で機体全体保護する。
テレビアニメ版では「耐熱フィルム」を使用して大気圏突入を行なっていたが、劇場版では実体型の「耐熱シールド」で摩擦熱の直撃を防御しつつ、下半身からシールド裏に目掛けて噴射した冷却ガスの反射によって機体全体に耐熱フィールドを形成し無事大気圏内の降下を果たしている。
シールドで冷却ガスの向きを調整しているため、シールドが存在しない場合や破壊された場合などでは耐熱フィールドの生成を十分に行えず摩擦熱に耐えられない可能性がある事がデメリットとして挙げられる。
テレビ版では下半身パーツのハッチから「耐熱フィルム」を取り出していたが、劇場版では冷却ガスが噴き出すシーンに変更されている。
バリュートシステム
登場作品:「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」「機動戦士ガンダムUC」
パラシュートの様に展開する風船型の大気圏突入用の装備。モビルスーツ用と宇宙艦艇用の二種類が存在する。
大気圏突入時には大気と機体との間に摩擦熱が発生するが、バリュートを展開する事で空気ブレーキによる減速や摩擦熱から機体を保護する事が可能。
「機動戦士Zガンダム」で初登場、モビルスーツの場合は通常のランドセルの代わりにバリュートを搭載した専用バックパックを装備。
大気圏突入時に展開し減速用のバーニアの噴射とパラシュートの展開により地上へ着地する。
また、モビルスーツ以外にもアーガマなどの艦体の後部にも搭載。
本来は木星での運用を想定に重力ブレーキとして搭載されていたものだが、グリプス戦役や第一次ネオジオン抗争では大気圏上空での減速ブレーキや地上への突入時に使用された。
デメリットとしてはバリュートを構成する材質が脆いため、スラスターなどの推進機を使用した移動が出来ない事、下からの攻撃に無防備になる事や敵機の奇襲によるバリュート破損などが挙げられる。
「機動戦士Zガンダム」で大気圏突入中に「カミーユ・ビダン」に奇襲をかけるも危険高度に達したためバリュートを自動展開した「マラサイ」。
後に「ガンダムMk-II」の攻撃でバリュートが破壊された事により自由落下、摩擦熱で機体が崩壊していった。
地上に到達後は減速用のパラシュートを展開しバリュートパックを切り離す。
地球から飛び立ったカミーユのシャトルとモビルスーツを引き上げるシーン。アーガマは大気圏上層で減速するためバリュートを展開、「ガンダムMk-II」をキャッチした直後に宇宙空間へ離脱した。
「機動戦士ガンダムZZ」の第23話でアーガマが大気圏に突入したシーン。地球降下の際にバリュートを展開し、南海の海に着水した。
バリュートを展開した「ZZガンダム」。
フライングアーマー
登場作品:「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」
「機動戦士Zガンダム」で初登場。エゥーゴにより「ガンダムMk-II」に合わせて開発された大気圏突入用の装備である。
グリプス戦役における標準的な大気圏突入用装備といえば「バリュート」が存在したが、パラシュート展開時には移動が出来ない事など無防備になる事から敵機の攻撃を受けてしまうリスクがあった。
「フライングアーマー」では機体上面にモビルスーツが搭乗する事により大気圏突入時であってもMS本体の推進機を使用しながらの移動が可能。
大気圏内での機動性や視認性の高さもあるため降下時の成功率が向上している。また底面にホバーシステムが搭載している事によりサブフライトシステム(SFS)としても機能する。
「Zガンダム」の背部にもマウントラッチにより切り離しが可能な状態で装備されており、大気圏突入用装備としてウェイブライダー(飛行形態)時にはフライングアーマーが底面に展開される事から単独での大気圏降下が可能となっている。
アーガマから発進するフライングアーマーに搭乗した「ガンダムMkII」。発進前のカタパルト上ではフライングアーマーの両翼が内側に折れ曲がっており、発進直後に翼が展開する。
フライングアーマーの後部。「ガンダムMk-II」を寝かせた状態で搭乗する。
大気圏突入中にマラサイの襲撃を受ける「ガンダムMk-II」だったが、機動性を活かし自在に攻撃を回避する。
戦闘中に制御不能に陥り自由落下する「百式」を乗せて大気圏に突入する「Zガンダム(ウェイブライダー)」。
「ジュドー・アーシタ」がウェイブライダーで「キュベレイMk-II」を背負いながら降下するシーン。
キュベレイの肩部バインダーがウェイブライダーの機体幅からはみ出てしまった事によりバインダーの装甲温度が上昇。
後にファンネルでバインダーを撃ち落とした事により無事に地上へ降下していった。
ビームシールド
登場作品:「機動戦士Vガンダム」「機動戦士ガンダムF91 (大気圏突入なし)」
宇宙世紀0110年頃に実用化されたモビルスーツ・艦船用の防御用兵装。戦闘用のシールドだが、「機動戦士Vガンダム」の劇中では大気圏突入時で使用された。
その名の通りビームで形成されたシールドで中央に搭載された発生器からシールドビームを展開する事により、敵機が撃つビームや実弾の防御、またビームサーベルと同様の性質を持つ事から切断攻撃にも使える装備である。
戦闘時に使用される機会が多い本装備だが、一方でビームシールドを展開した状態であれば摩擦熱から機体を保護出来るため大気圏突入も可能。従来の標準装備であるバリュートの必要性が無くなっている。
発光体で透けて見えるため前方の視認性が高いのが特徴。
デメリットはバリュートなどの物理的な装備と違い、エネルギー切れによるシールドビーム消失のリスクが生じることである。
ビームシールドを展開した「リーンホースJr.」の懐でビームシールドを展開し大気圏突入する「V2ガンダム」。
同じく艦首からビームシールドを展開し大気圏突入を試みるホワイトアーク。
大気圏突入用の装備の感想
ガンダムシリーズに登場する大気圏突入用装備を紹介しました。
まず「機動戦士ガンダム」で登場した「耐熱フィルム」「耐熱フィールド」ですが、シリーズ初の作品という事もありこの時代の大気圏突入装備はリアルロボットっぽく無い感じがします。特に耐熱フィルムに関しては見た目的にもあまりスマートな感じはしないと思いました。
ちなみに「機動戦士ガンダムZZ」ではアーガマが「バリュート」で大気圏突入しているのに対し、初代では「ホワイトベース」が専用装備無しで大気圏に突入している描写が存在します。この様なシーンを見ていても初代の時点では大気圏突入の装備に関する設定がはっきり定まっていなかったと言えると思います。
グリプス戦役や第一次ネオジオン抗争における標準的な装備はバリュートになると思いますが、そんな中で「ガンダムMkII」専用の「フライングアーマー」はカッコいいと思いますし、「Zガンダム」のウェイブライダー形態による単独の大気圏突入も時代の先端を行っていると思います。
また、後年の「ビームシールド」に関しても近未来的な感じがしますが、シールド一つで大気圏突入可能にしてしまうという時代の流れも感じます。