歴代のゴジラ・モスラシリーズで登場した怪獣「モスラ」を紹介したいと思います。
インファント島の守護神として崇められる巨大な蛾という設定で1961年に初登場したモスラですが、その後も人類の味方としてゴジラを始めとする多くの怪獣達と戦う活躍を見せました。
歴代の中でも登場回数が多く、今もなお怪獣映画の中において高い人気を誇っています。
今回は歴代作品で登場したモスラをシリーズごとに分別、それぞれの作品における特徴や活躍など見ていきたいと思います。
モスラとはどんな怪獣なのか?
モスラとは東宝により1961年に公開された映画「モスラ」にて初登場した巨大な蛾の怪獣である。
以後「ゴジラシリーズ」の常連となっており1996年〜98年にかけて公開された「平成モスラ」と呼ばれる3部作の主役としても登場している。
「モスラの生態」
多くの作品ではインファント島の守護神として崇められている。
巨大な卵から生まれ芋虫の様な幼虫から繭を経て、成虫へと変体する。幼虫は体長25m〜180m、成虫は翼を含めた時の大きさが30m〜250mと作品によって大きさは異なっている。
性格は温厚で多くの作品で人類の見方として他の怪獣と戦っている。
成虫に至っては卵や幼虫を庇うシーンが多く、体力が尽きて敗北してしまう事が多いが、全作品を通じて見てみるとゴジラと直接対決をした戦績では大きく勝ち越している。
「モスラと小美人」
小美人とはインファント島に住みモスラに仕える巫女の事です。
モスラとコミュニケーションを取る事が可能で劇中ではモスラの意思を人間達に伝える描写も多い。
他の怪獣が来襲した際には小美人の呼びかけに応じ目的地まで飛来する。また、彼女達が何者かに攫われた際には本能的に2人の元へ駆けつける習性も持っている。
「モスラの戦闘能力(幼虫)」
移動能力が遅く耐久力に乏しいが、口から吐く糸で繭を作る事ができ、相手の動きを止める事が可能。
この糸は非常に強力なため劇中ではゴジラの怪力でも引きちぎる事は不可能であった。また自らが羽化する際にも使用している。
顎の力が強く、ゴジラの尻尾に噛み付く場面もみられた。
「モスラの戦闘能力(成虫)」
マッハに及ぶ高速で飛行、羽ばたいた際の衝撃波はゴジラでさえも苦戦している。
武器は脚による引っ掻き攻撃と翼チョップ、そして羽根から出る鱗粉はゴジラの放射熱線を拡散させる効果がある。
平成で公開された作品では超音波ビームを使用する事が可能で劇中ではゴジラをダウンさせている。
歴代モスラの種類と活躍まとめ
歴代のシリーズ作品で登場したモスラのバリエーションとそれぞれの能力や活躍を紹介したいと思います。
昭和ゴジラ&モスラシリーズ
モスラ
公開時期:1961年
インファントの守護神、洞窟にあった卵から孵化をする。小美人が興行師のネルソンに連れ去られた事で幼虫形態のまま東京まで追ってきた。
小美人を探し求めて東京の街を破壊し東京タワーに繭を張り短期間で孵化。
ネルソンが海外に逃亡してしまったため今度はロリシカ国のニューカーク市を破壊するが、福田善一郎たちが空港にモスラの紋章を描き、着地した所に返された小美人を連れてインファント島へ帰っていった。
出身地 | インファント島 |
幼虫 | |
体長 | 180m |
体重 | 8000〜20000t |
成虫 | |
体長 | 80m |
翼長 | 250m |
体重 | 15000t |
飛行速度 | マッハ3 |
モスラ対ゴジラ
公開時期:1964年
成虫と新たに孵化した赤い眼と青い眼の2匹の幼虫が登場する。
産んだ卵が台風によって日本の静之浦まで流れたため残り少ない命ながら日本へ飛来。ゴジラはモスラの卵を見つけて襲おうとするが成虫の激しい抵抗に遭い苦戦、そんな最中でモスラに放射熱線が直撃し卵を庇う様に力尽きた。
その後、卵から孵化した2匹の幼虫は連携してゴジラを翻弄、繭糸で縛って海へ沈める事に成功する。
戦いを終えた2匹のモスラ幼虫はインファントへ帰還したが、青い眼の方のモスラは後に死亡している。
出身地 | インファント島 |
成虫 | |
体長 | 135m |
翼長 | 250m |
体重 | 1万5000t |
飛行速度 | マッハ3 |
出現地 | 浜風ホテル近辺 |
幼虫 | |
体長 | 40m |
体重 | 8000t |
三大怪獣 地球最大の決戦
公開時期:1964年
前作で登場した2匹のモスラのうち赤い眼の幼虫が登場。宇宙怪獣キングギドラの来襲により小美人に呼び寄せられた。
ゴジラとラドンに共闘を呼びかけるも断られ、やむなくキングギドラと戦うが手に負えず。だがこの姿を見たゴジラとラドンは心を動かされ参戦。
共闘の末にキングギドラを繭でがんじがらめにするなど撃退に貢献している。
ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘
公開時期:1966年
成虫が登場。前作、前々作で活躍したモスラと思われるが詳細は不明。
インファント島の人達を救うために小美人の祈りの歌で目覚めたモスラはレッチ島に出現。戦闘が目的では無い事もあり襲い掛かってきたゴジラを羽で薙ぎ払う程度で済ませている。
体長 | 135m |
翼長 | 250m |
体重 | 15000t |
飛行速度 | マッハ3 |
怪獣総進撃
公開時期:1968年
赤い眼のモスラ幼虫が小笠原諸島に建設された怪獣施設「怪獣ランド」に住む怪獣として登場するが、これまでの作品との関連性には触れられていない。
キラアク星人に操られた事で世界各地の街を破壊するも、その後は富士山麓でキングギドラと戦闘。繭糸で他の怪獣達をサポートしている。
体長 | 40m |
体重 | 8000t |
平成ゴジラVSシリーズ
ゴジラvsモスラ
公開時期:1992年
インファント島に住む先住民族コスモスの守護神。同族のバトラとは戦う宿命にある。
島の開発を行なっていた丸友観光によって卵が運ばれるも途中で孵化し、ゴジラとバトラと戦闘を繰り広げた。インファント島に帰還するも日本に連れ去られたコスモスを追って東京へ上陸し国会議事堂で羽化する。
同時期に羽化をしたバトラと横浜で戦いを繰り広げるも、その後上陸をしたゴジラと戦闘。
バトラとの和解の末に共闘しゴジラを退ける事に成功する。
戦いを終えバトラの使命を受け継いだモスラは宇宙へ旅立っていった。だが、体に付着したゴジラ細胞が後のスペースゴジラ誕生の一因になっている。
出身地 | インファント島 |
幼虫 | |
体長 | 120m |
体重 | 15000t |
出現地 | 太平洋上 |
成虫 | |
全長 | 65m |
翼長 | 175m |
体重 | 20000t |
飛行速度 | マッハ2 |
出現地 | 国会議事堂 |
ゴジラvsスペースゴジラ
公開時期:1994年
モスラ成虫の小型の分身体で妖精モスラ、またはフェアリーモスラとも呼ばれている。
宇宙へ旅立ったモスラがスペースゴジラの脅威を知らせるべく地球へ派遣される。劇中では超能力者の三枝未希のみがこの姿を目撃している。
翼長 | 30cm |
体重 | 0g |
平成モスラシリーズ
モスラ
公開時期:1996年
前年に終了した「平成ゴジラシリーズ」に代わった新シリーズの主役となった。
本作では成虫と幼虫2匹が登場。デスギドラとの戦いで苦戦する親モスラを援護しようとするが一方的にやられてしまう。
その後、親モスラは力尽きて海底に沈んでしまうが、屋久島の森林エネルギーを吸収した幼虫は新生モスラとして生まれ変わった。
羽化した後は完全体となったデスギドラ相手に圧倒的な力の差を見せ付け地中に封印。デスギドラによって荒廃した大地に緑を蘇らせインファント島へ帰っていった。
出身地 | インファント島 |
幼虫 | |
体長 | 25m |
体重 | 3000t |
走行速度 | 40〜60km/h |
成虫 | |
全長 | 24m |
最大翼長 | 38m |
翼幅 | 53m |
体重 | 5900t |
飛行速度 | マッハ15.5(通常時) マッハ85 (フラッシュ時) 亜光速(宇宙空間) |
モスラ2 海底の大決戦
公開時期:1997年
石垣島にダガーラが上陸したためエアリス姉妹によって召喚される。分身攻撃を得意としており、幼虫の時期には体色を風景に同化させる能力も持っている。
石垣島から西表島までは空中戦を繰り広げたが、ニライカナイの遺跡であるピラミッド付近ではダガーラにより海中に引き込まれてしまい戦闘不能に陥ってしまう。
そんな最中でゴーゴーの「命の水」の力によって復活を果たしたモスラは「レインボーモスラ」となりダガーラを圧倒。
再度、海中戦を繰り広げた際には「アクアモスラ」へと変身しバリアと分身モードを駆使してダガーラを倒した。
レインボーモスラ | |
体長 | 24m(モスラ2) / 25m(モスラ3) |
翼長 | 50m |
体重 | 5900t |
飛行速度 | マッハ15.5 亜光速(宇宙空間) |
出身地 | インファント島 |
アクアモスラ | |
体長 | 24m |
翼幅 | 30m |
体重 | 3500t |
飛行速度 | マッハ15.5 |
水中速度 | 200ノット |
出身地 | インファント島 |
出現地 | 竹富島沖 |
モスラ3 キングギドラ来襲
公開時期:1998年
1億3千万年前に恐竜を滅ぼした宇宙怪獣キングギドラが地球へ飛来し数万人の子供達を捕食しようとドームへ閉じ込める。
こうした状況を打破するためにエアリス姉妹によって召喚されるも、手も足も出なかった。
モスラは恐竜が生きていた過去(白亜紀)に行ってまだ幼体だったキングギドラを倒すも力尽きてしまう。
その後、三体の原始モスラによって復活を果たしたモスラは現代に戻り「鎧モスラ」となってキングギドラと戦闘し見事これを撃破、戦いを終えたモスラはインファント島へ帰って行くのであった。
モスラ(光速モード) | |
体長 | 25m |
翼長 | 30m |
体重 | 5900t |
最大飛行速度 | 亜光速 |
出身地 | インファント島 |
鎧モスラ | |
体長 | 25m |
翼長 | 50m |
体重 | 5900t |
飛行速度 | マッハ15.5 |
出身地 | インファント島 |
ミレニアムシリーズ
ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
公開時期:2001年
護国三聖獣海の「海の神・最珠羅」として登場。モスラのデザインがこれまでと大きく変わっている。
従来のモスラ(成虫)は光線や鱗粉が攻撃の主体であったが、本作では毒針や引っ掻き攻撃がメインになっている。
また本作では自然の守護神であり、従来の様に人間の味方ではないため鹿児島県の池田湖で出現した際には盗品でパーティをしていた人間達を抹殺している。
後に湖面で眉を作り成虫へと変体を遂げゴジラと戦闘、途中からキングギドラと共闘するも放射熱線の直撃受けた事で燃やし尽くされたが、そのエネルギーをギドラに与えた事でキングギドラは完全体となった。
出身地 | 鹿児島県池田湖 |
成虫 | |
体長 | 24m |
翼長 | 75m |
胴幅 | 5m |
体重 | 15000t |
飛行速度 | マッハ1 |
幼虫 | |
全高 | 6m |
全長 | 30m |
全幅 | 5m |
体重 | 10000t |
ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS
公開時期:2003年
初代モスラの子孫として登場。小笠原諸島の曾孫島で卵を産んだモスラは軽井沢に向かいゴジラと死闘を繰り広げるも援護に入った2匹のモスラ幼虫を庇い力尽きてしまう。
その後、親モスラが遺していた卵から孵化した2匹の幼虫は機龍と共闘、口から吐く繭糸でゴジラの動きを封じている。
成虫 | |
体長 | 36m |
翼長 | 108m |
体重 | 12000t |
飛行速度 | マッハ3 |
出身地 | インファント島 |
出現地 | 太平洋上 |
幼虫 | |
全長 | 43m |
体重 | 9000t |
出身地 | 小笠原諸島・曾孫島 |
ゴジラ FINAL WARS
公開時期:2004年
インファント島の守護神として存在。伝承によるとかつて「ガイガン」の襲来で戦ったが敗れたとされており、島の壁画には2匹の幼虫が描かれている。
再起動したガイガン、そしてX星人達が地球侵攻する中で復活、苦戦するゴジラの援護に現れた。
ボンバーラリアットと毒鱗粉で攻撃し、光線による大爆発に巻き込まれたかと思われたが、爆炎を身に纏った状態で「ファイヤー・ヒート・アタック」を仕掛けてガイガンを倒しインファント島へ帰還した。
体長 | 72m |
翼長 | 216m |
体重 | 2万5000t |
飛行速度 | マッハ3 |
出身地 | インファント島 |
GODZILLA 星を喰う者
公開時期:2018年
南米のアマゾンの奥地に生息し先住民族である「モスラの民」に太古より神として崇められている。ゴジラの熱線を反射する鱗粉や傷を癒す能力を持ち合わせている。
2048年7月31日にブエナベントゥラを襲撃したゴジラの前に出現し退却に追い込む。怪獣共生派の人々による提案により残された卵は地球連合軍によって日本に移送、成虫は陽動部隊と共にゴジラを迎撃するも敗れてしまう。
それから2万年後の地球では「フツア族」から神とし崇められており、数千年前には卵から孵化したモスラがゴジラとの戦いで敗れていた。
またその際にモスラの体内に残されていた卵はフツア族の神殿に安置されており孵化までに約300年かかる状態でだという。
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
公開時期:2019年
中国の古代遺跡の中で卵の状態で発見されており、後に研究所で孵化する。
施設が攻撃を受けた際には逃げ出し滝で繭を作り物語終盤で羽化、キングギドラと戦った。
ギドラの手下となったラドンとの戦いでは苦戦しながらも毒針で相手の身体を貫いて勝利。その後ギドラの引力光線からゴジラを庇って消滅してしまうが、モスラのエネルギーでゴジラがパワーアップ。キングギドラを倒す一因となっている。
体長 | 15.8m |
翼長 | 244.8m |
歴代モスラの種類と活躍の感想
歴代のシリーズ作品で登場したモスラの活躍や特徴などを紹介しました。
人類の見方として登場したモスラですが、こうして見ていくと何かの守護神として崇められている事が多いですね。デザイン的にも幼虫はチョココロネっぽいし、成虫はモフモフした感じがあるので可愛いと思います。
ちなみにデザイン的に一番好きなモスラは1992年公開の「ゴジラvsモスラ」です。
造形や色合い的に一番好きですし、鱗粉でゴジラの放射熱線を乱反射させるシーンがあったり、超音波光線が使えたり、バトラとの共演も良かったですしまさに極彩色を思わせる戦いぶりでした。
当方が最初に見た作品である昭和シリーズの「モスラ対ゴジラ」では成虫モスラがあっけなくやられてしまい、その後モスラの幼虫が繭糸でゴジラの動きを封じる場面がありました。
幼虫の場合は口から吐く糸で敵怪獣の動き封じるシーンが多いのに対し、モスラが倒される場合は決まって成虫なので、個人的には成虫よりも幼虫の方が強いイメージがありますね。