ガンダムの装甲素材として使用されているガンダリウム合金についてまとめてみました。
ガンダムといえばエースが搭乗する特別な機体として活躍しますが、装甲素材の剛性も量産機に比べ高いとされています。
今回はガンダリウム合金の特性と種類、と関連するモビルスーツを紹介したいと思います。
ガンダムの装甲素材
宇宙世紀0079年に勃発した一年戦争においてジオン公国軍相手に当初劣勢を強いられていた地球連邦軍はV作戦を発動、ジオン軍のモビルスーツ「ザク」に対抗すべく反転攻勢を図る。
経済的に余裕のないジオン軍に対し、地球連邦軍は豊富な資金力とこれまでに培った技術力を活かし高性能モビルスーツの開発に着手する。
連邦軍の威信を賭けたコスト度返しの開発の結果、初代となるガンダムにはミノフスキー技術を応用したフィールドモーターシステム、コアブロック、ビーム兵器など革新的な技術を盛り込んだが、装甲素材も高剛性・耐熱性・対放射性を兼ね備えた「ルナチタニウム合金」を使用。
「機動戦士ガンダム」の劇中では至近距離からのザクマシンガンの攻撃でもびくともしない防御力を見せつけた。
ルナチタニウム合金
正式名称は「超硬合金ルナチタニウム」。宇宙世紀0064年に開発されたチタン、アルミニウム、希土類金属などから構成される合金である。
名前は開発当初は月(ルナ)でしか精製出来なかったチタン(チタニウム)が使用されている事が由来となっている。
精製・加工の難しさから通常の装甲素材に比べ高コストだった事もありガンダムシリーズやRX計画のMSの装甲、シールド表面など一部の用途に使われている。
また、例外として陸戦型ジムの装甲やケンプファーの武装であるショットガンの散弾にも素材として使用が確認されている。
ガンダム
「機動戦士ガンダム」の第1話ではザクマシンガンの直撃を受けても無傷だったシーンが存在。ガンダムの剛性を見せつけた名場面である。
ガンダム試作1号機
ガンダム開発計画で開発されたMSにおいてもルナチタニウム合金が装甲素材として使用されている。
劇中ではゲルググ・マリーネのビームマシンガンの直撃が多数ありながらもアルビオンに生還している。
シーマ・ガラハウの「なんて装甲だい!」「堕ちないんだよ!!」は印象的。
ケンプファー(ショットガン)
ショットガンの弾に使用されていたが、ガンダムNT-1のチョバムアーマーを破壊するには至らなかった。
ガンダリウム合金の種類
RX計画で積極的に採用されたルナチタニウム合金ですが、後にアクシズが再現し「ガンダリウム合金」と呼ばれる様になりました。
名前に関しては一年戦争で活躍したガンダムなどで実用性が証明された事から、開発に携わった「アルレット・アルマージュ」が自戒の意を込めて敢えて敵側の機体から命名する事になりました。
この項目ではガンダリウム系合金の種類と関連モビルスーツを紹介したいと思います。
ガンダリウムα
アクシズが「ルナチタニウム合金」を解析し加工性を向上させたガンダリウム系合金の一つ。装甲素材としてはルナチタニウム合金と性能的に差はないとされている。
また資料によっては「RX-78-2 ガンダム」などに使用されたルナチタニウム合金が「ガンダリウムα」と呼称されている事もある。
バーザムコマンダーカスタム
出典元:gunpla-beginning.com
バーザムのプロトタイプで、地球連邦軍第13独立機動戦隊の指揮官であるラス・ハンニバル大佐の搭乗機となった。量産機よりジェネレータ出力が高く、肩部と脚部にホバリングノズルを増設した事により高速移動が可能である。
ガンダリウムβ
アクシズが開発したガンダリウム系合金の一つで、性能的にも「ガンダリウムα」と「ガンダリウムγ」の中間に位置する。
第一次ネオジオン抗争で汎用量産機として活躍した「ジェガン」「ギラ・ドーガ」の装甲素材に採用されている「チタン合金セラミック複合材」と同等の強度があるとされている。
また、グリプス戦役でティターンズが開発していた「ガンダムMk-III 2号機 ハーピュレイ」に至ってはガンダリウムβの技術限界によりフレーム・装甲の耐久性に問題がある事から開発は中止されている。
ガンダムMk-III 2号機 ハーピュレイ
ティターンズがガンダム強奪事件後に開発した機体。ギャプランと同じ変形機構を導入した可変モビルスーツ。
ガンダリウムγ
α・βに続いて宇宙世紀0083年にアクシズの研究者たちによってミノフスキー技術の応用により開発されたガンダリウム系合金の一つ。
ガンダリウムαで使用されていた希土元素類をマグネシウムとケイ素に代替した事により耐久力が向上。また生産技術の進歩により加工性も上がっている。
アクシズから地球圏に帰還したクワトロ・バジーナによって生産技術がアナハイム・エレクトロニクス社に持ち込まれた事で、宇宙世紀0087年のグリプス戦役以降では多くの機体で採用されている。
「リック・ディアス」をはじめエゥーゴの新型モビルスーツでも採用されており、ムーバブルフレームの実用化に貢献した事から可変モビルスーツの開発が可能になっている。
また、この素材が採用された「マラサイ」がAE社からティターンズに渡った事によりグリプス戦役時の全陣営に普及し標準的な技術となった。
リック・ディアス
エゥーゴとアナハイム社が共同で開発したモビルスーツ。
ガンダリウムγが使用されている事からコードネームが「γガンダム」となったが、後にガンダムをよく知るクワトロの要望もあり後に「リック・ディアス」に変更された。
ハンブラビ
ムーバブルフレームの実用化に伴い開発が可能になった可変モビルスーツ。
ガザC
元々はアクシズが開発した素材だった事もあり、ネオジオン系のMSにも採用されている。
ガンダリウム・コンポジット
ガンダリウム合金にコンポジットを複合した素材。これにより高剛性を維持しながらも軽量化に成功した。
ムック「ガンダム・センチネル」では「Ex-Sガンダム」「Zプラス」で「ガンダリウムγコンポジット」が採用されているとしている。
ザクIII改
ネオジオン軍のザクIIIをマシュマー・セロ仕様に改修した機体。「機動戦士ガンダムZZ」の終盤でハマーン・カーンに反旗を翻したグレミー軍と対峙したが、ラカン・ダカラン率いるドーベン・ウルフ隊との戦いを単機で挑み散っていった。
Ex-Sガンダム
出典元:gunpla-beginning.com
AE社が開発した地球連邦軍の試作モビルスーツ。有線型の準サイコミュ兵器であるインコムを装備するSガンダム(スペリオル・ガンダム)の重装備仕様でZZガンダムと同時期に開発されている。
ガンダリウムε(エプシロン)
宇宙世紀0087年にアナハイム社が開発していた「ガンダリウムγ」の改良型。
当時のガンダリウム系合金の中では最高の性能を持っており、リックディアスに次いで開発された「エプシィガンダム」の核融合パルス推進システム「ブラッサム」に採用された。
エプシィガンダム
出典元:gunpla-beginning.com
エゥーゴの要望に応えAE社によって開発が進められていたが、宇宙世紀0087年に行われたテストで失敗。製造のコスト面により生産機会を失った。
ガンダリウム合金セラミック複合材
高硬度のセラミックを複合する事により高い剛性と軽量化を実現、モビルスーツの小型化が進んだ宇宙世紀0110年以降では数多くの機体で採用されている。
軽さと剛性を両立させた本素材の特性は機体の軽量化に伴って機動性を向上させ被弾率を低減させるというグリプス戦役以降の設計思想に適した素材とも言える。
また、サナリィのフォーミュラ計画により開発された「ガンダムF90」の装甲素材として採用され、宇宙世紀0123年にはコスモ・バビロニア建国戦争において同じく装甲素材として採用された「ガンダムF91」が活躍。ミノフスキー・フライトシステムが非搭載(推定)でありながらも軽量な機体でコロニー内の重力空間を飛び回った。
クロスボーンガンダムでも派生素材として「ガンダリウム合金ハイセラミック複合材」を使用、宇宙世紀0153年にはリガミリティアの新型機である「V2ガンダム」で「ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材」が使用されている。
ガンダムF90
出典元:gunpla-beginning.com
サナリィが開発。宇宙世紀0111年にロールアウトした地球連邦軍の小型モビルスーツ。以降のサナリィが開発するMSのベースとなった機体である。
クロスボーン・ガンダムX1
出典元:gunpla-beginning.com
サナリィが他惑星での運用を前提に開発した機体。搭乗者はガンダムF91でも多大な戦果を挙げたシーブック・アノーことキンケドゥ・ナウ。
Vガンダム
リガ・ミリティアがV計画のもとに開発したヴィクトリータイプ。主人公であるウッソ・エヴィンが搭乗、ザンスカール帝国に対抗するための反抗のシンボルとして躍動した。
ガンダムの装甲素材 (その他)
チタン合金セラミック複合材
一年戦争後に地球連邦軍が「ルナ・チタニウム合金」に代わる新素材として採用した機体。
ルナ・チタニウム合金に比べると同程度の強度がある事、生産コストが抑えられるというメリットにより「ガンダムMk-II」などで採用された。
その後、地球連邦軍(ティターンズ)がアナハイム社から譲渡されたマラサイから「ガンダリウムγ」の製造技術を得た事により、しばらく使用される事は無くなったが、第二次ネオジオン抗争では「ガンダリウムβ」と同等の剛性を獲得した事により地球連邦軍、ネオジオン軍の汎用量産機で採用されている。
また、宇宙世紀0153年には派生素材として「チタン合金ネオセラミック複合材」がザンスカール系の機体に用いられている。
ガンダムMk-II
ティターンズが開発したガンダムの次世代機。エゥーゴに渡ってからはカミーユ・ビダン、エマ・シーンの搭乗機として活躍しグリプス戦役を戦い抜いた。
機体構造にはムーバブル・フレーム、コクピットには全天周囲モニター&リニアシートを採用するなど当時としては画期的なモビルスーツだった。
ガンダムTR-1
出典元:gunpla-beginning.com
宇宙世紀0084年にティターンズがMSの技術評価のためにTR計画のもとで開発した実験機。ジム・クゥエルがベースとなっているが、ガンダムの名に相応しい性能を持つ。
ガンダムの装甲素材の感想
ガンダリウム合金の特性と種類について紹介しました。
初代ガンダムでは当初ザクマシンガンによる攻撃を全く受け付けないなど剛性の高さを見せつけましたが、後のビーム兵器の登場によりガンダムの装甲の優位性はなくなっていったと思います。
「機動戦士ガンダム第08MS小隊」では陸戦型ガンダムがアプサラスのメガ粒子砲で真っ二つにされているので、ビームの出力次第では装甲は全くの無力だと思いますし、「機動戦士Vガンダム」ではビームの直撃でVガンダム・ヘキサが何機も撃墜されています。
時代が経るにつれてビーム兵器が進化している事、ガンダリウム合金単体では高出力のビームを防御しきれない事から、ビームコーティングやIフィールドなどの技術との連携が重要になり、何より「いかに回避するか」を焦点にMS開発が進んでいったと思われます。