宇宙世紀ガンダムシリーズで登場した第5世代MSについて紹介したいと思います。
一年戦争において主力兵器として確立、その後の時代では技術の進歩に伴い発展を続けてきたモビルスーツですが、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」で登場するΞガンダムやペーネロペーの高速飛行はこれまでにないMSの進化を印象付けてくれました。
今回は第5世代MSの特徴や機体についてまとめてみました。
第5世代モビルスーツとは
第5世代モビルスーツの特徴や従来のMSとの違いなどを見ていきたいと思います。
第5世代MSの定義
第5世代モビルスーツとは「小型のミノフスキークラフト(ミノフスキー・フライト・ユニット)を搭載し、非変形で単独飛行可能にしたMS」の事である。
宇宙世紀0105年に実戦投入された「Ξガンダム」「ペーネロペー」、宇宙世紀0110年の「ゾーリン・ソール」が第5世代モビルスーツとして劇中で活躍している。
重力下浮遊システムを搭載した事により、空中浮遊を可能にし大気圏内での長時間の単独飛行を容易にしたのがこの世代のモビルスーツの特徴である。
そのため、変形無しで大気圏内の単独飛行が出来るMSが存在していたとしても、機体構造が本来の定義と違っていれば第5世代モビルスーツとは言えないという事になる。
しかし、一般的に「第二期モビルスーツ」に分類されている”宇宙世紀0120年代から0150年代まで活躍した15メートル級の小型モビルスーツ”を第5世代モビルスーツとして分類する資料も一部で存在している。
※MS誕生から第5世代MSまでの機体を「第一期モビルスーツ」。宇宙世紀0100年代以降に新規開発された小型MSの事を「第二期モビルスーツ」と呼ぶ。
第5世代MSの特徴
従来のモビルスーツで空中移動するにはスラスターやサブスラスターで搭載されている熱核ジェットエンジンの推力が必要だったため、燃料・排熱処理の関係上、稼働時間や空中戦での機体動作に制約が多かった。
かつてティターンズが開発したバイアランなど大気圏内の単独飛行を得意とするモビルスーツであっても、推進剤の大量消費やメインエンジンの長時間噴射によるオーバーヒートのリスクにより稼働時間は限られていた。
そのためMSが大気圏内での長時間の飛行や空中戦を行うには「ドダイ」や「ベースジャバー」の様なSFS(サブ・フライト・システム)を利用するか、「第3世代のモビルスーツ」の「可変モビルスーツ」による飛行形態への変形で対応する必要があった。
第5世代MSではこれまで「ホワイトベース」の様な戦艦や「サイコガンダム」「アプサラス」の様な大型のモビルアーマー等にしか搭載できなかった「ミノフスキー・クラフト」を可能な限り小型化し搭載する事により、重力が発生する大気圏内であっても単独飛行を可能にしている。
これにより大気圏内での活動地域の拡大と空戦稼働時間の確保に成功した。
また、静止浮遊が可能なため、カタパルトを用いない離着陸や停止後の方向転換など環境を選ばない運用も可能になっている。
第5世代MSの欠点
デメリットとしては製造コストが大幅に上がる事や、「ペーネロペー」などでは全高が30メートルを超えるなどミノフスキー・フライト搭載による機体の大型化が顕著であったため、この機体構造が普及する事は無かった。
しかし、宇宙世紀110年代のMSでは機体の小型化・軽量化と共にミノフスキークラフトもさらにダウンサイジングされ、サナリィの「ガンダムF90A」では小型でありながらミノフスキー・クラフトを応用した大推力のユニットを装備した事により空中飛行を可能にしている。
さらに宇宙世紀150年代に登場するリガミリティアの「V2ガンダム」では推進剤が不要である「ミノフスキードライブ」が搭載された事により大気圏内での24時間近い連続空中戦を可能にしている。
第5世代モビルスーツ一覧
劇中で登場した第5世代モビルスーツの特徴や活躍をまとめてみました。
Ξガンダム
出典元:gunpla-beginning.com
「特徴」
アナハイム・エレクトロニクスが開発した新型のガンダムタイプのモビルスーツ。
Ξ(クスィー)という名前は「アムロ・レイ」の乗機であった「νガンダム」を引き継ぐという意図で名付けられた。
発注は反地球連邦政府組織「マフティー・ナビーユ・エリン」によって極秘で行われており、地球連邦軍による調査では製造元を突き止める事は出来なかったが、「ブライト・ノア」は機体の印象からAE社製であると断定している。
「ミノフスキー・フライト・ユニット」を機体に内蔵し、重力が発生する大気圏内を浮遊する事が可能。それに伴いスラスターの推力を全て推進エネルギーに回す事が出来るため従来のMSよりも高速飛行が可能になっている。
加えて「ビーム・バリアー」を展開する事により高速飛行の際に発生する摩擦熱から機体を保護する他、戦闘時に防御と機能する堅牢さも併せ持つ。
頭部サイコミュブロックにはパイロットの脳波を拡大させるサイコミュ・システムを搭載しており、サイコミュ誘導式のファンネルミサイルや大出力のメガ粒子砲など火力面の高さも際立つ。
そのため、ニュータイプパイロットとの親和性が高いのも本機の特徴となっている。
「活躍」
劇中ではマフティこと「ハサウェイ・ノア」が搭乗。月でのテストを終えた後に輸送船で地球へ降下し、インドネシア沖で空中受領を行った。
その後、接近してきた「グスタフ・カール」複数相手に空戦能力の高さを見せつけ圧倒、「レーン・エイム」が駆る「ペーネロペー」との戦いにおいても一撃離脱戦法による至近距離でのミサイルの集中攻撃で撃墜。
アデレート空港へ襲撃した際には上空からマッハ2の速度で奇襲、ミサイルを全弾発射して相手に多大な被害を与えるなど、ここでも空戦能力の高さを見せつけた。
その後、修理を終えたペーネロペーと再戦した際にはオールレンジ攻撃やサーベルによる近接格闘戦で相手を追い詰めるも、地上に設置されていたビーム・バリアーに包囲され機能を停止。
地上へ墜落した後、地球連邦軍に接収されてしまう。またこの際にパイロットであるマフティーも拘束されている。
Ξガンダム(フライト・フォーム)
出典元:http://gundam-hathaway.net
ビームバリアと併用する事で摩擦熱を減らし最高速は「マッハ2」に到達する。
型式番号 | RX-105 |
全高 | 28.0m |
頭頂高 | 26.0m |
本体重量 | 32.0t |
全備重量 | 80.0t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
ジェネレーター出力 | 3980kw |
総推力 | 160000kg |
センサー有効半径 | 30000m |
武装 | ファンネルミサイル、3連装ミサイル、脚部ミサイルランチャー、ビームライフル、ビームキャノン、ビームサーベル、バルカン砲、シールド |
特殊装備 | ビーム・バリアー |
搭乗者 | マフティー・ナビーユ・エリン(ハサウェイ・ノア) |
ペーネロペー
出典元:gunpla-beginning.com
「特徴」
アナハイム社が開発、地球連邦軍キンバレー部隊に配備された第5世代のモビルスーツ「RX-104 オデュッセウスガンダム」がフライトユニットを装備した形態である。
肩部に内蔵されたメガ粒子砲や散弾兵器の「サンド・バレル」、Ξガンダム同様にサイコミュを用いた「ファンネルミサイル」など武装が充実している。また「ビーム・バリア」はビーム以外にも実弾を弾く事が可能である。
小型化した「ミノフスキー・フライト」を初めて搭載したMSだが、「Ξガンダム」と比較して「ビーム・バリア」の完成度が低い事から、高速飛行時には空気中の摩擦抵抗を低減させるために「フライング・フォーム」形態に変形する必要がある。
「活躍」
劇中では地球連邦軍の中尉「レーン・エイム」が搭乗。マフティー側よりも先に地球へ降下し初陣では「ガウマン・ノビル」が搭乗する「メッサー」を捕縛した。
その後、インドネシア・ハルマヘラ島沖で未確認機の接触を図ろうとするマフティーを察知。
「ケネス・スレッグ」大佐の命令によりガウマンを人質に取った作戦を展開するもマフティーの挑発に乗ったレーンはガウマンを解放。
結果的にビームライフルを囮にしたマフティーの作戦を見抜けず、ミサイルを打ち込まれ撃墜されてしまった。
修理後は「Ξガンダム」とは別に行動していた旗艦「ヴァリアント」を撃沈。
アデレート攻防戦ではレーンの成長もあってΞガンダムと空中戦で互角に渡り合うがやがて不利に追い込まれてしまう。
だが、ケネス大佐の命令によりビーム・バリアーの予定ポイントまでマフティーを誘導、ビーム・バリアー作戦でΞガンダムを撃墜する事に成功する。
ちなみにレーンは後に、マフティーの正体が自身と面識のあるハサウェイだった事を知り唖然としていた。
ペーネロペー(フライング・フォーム)
出典元:http://gundam-hathaway.net
ビーム・バリアの完成度の低さから高速移動時は変形する必要がある。
型式番号 | RX-104FF |
全高 | 32.5m |
頭頂高 | 26.0m |
本体重量 | 36.4t |
全備重量 | 112.0t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
ジェネレーター出力 | 4050kw |
総推力 | 168000kg |
センサー有効半径 | 32000m |
武装 | ファンネルミサイル、メガ粒子砲、ビームライフル、ミサイル、ビームサーベル、バルカン砲、シールド |
特殊装備 | ビーム・バリアー |
搭乗者 | レーン・エイム |
ゾーリン・ソール
出典元:gunpla-beginning.com
「特徴」
宇宙世紀0110年にアナハイム社が開発した第5世代のモビルスーツ。「Ξガンダム」や「ペーネロペー」の発展型としてコスト度返しで開発された機体である。
「ミノフスキークラフト」のさらなる小型化により、「Ξガンダム」や「ペーネロペー」に比べると機体サイズがコンパクトになっているが、当時の地球連邦軍はMSのさらなる小型化を進めていた事もあり正式な採用は見送られる事になった。
また本機に搭載されている「ミノフスキー・バリアー」はミサイルなどの実弾兵器を無効化させる事が可能にしており高い防御性能も備える。
メタトロンに収容された後は、機体の電子機器の換装とサイコミュの調整を受け、オールレンジ攻撃用の兵装を装備。
ちなみに「ミノフスキー・クラフト」と「ミノフスキー・バリアー」はシステムの共用が可能な事から「ガイア・ギアα」などの機体にも搭載されている。
「活躍」
作中では「アフランシ・シャア」が搭乗。
「シャア存続計画」を推進するズィー機関によりホンコンの廃墟ビルに一世紀に渡って隠匿されていたが、「バアム・ゼーゲン」の手により「アフランシ・シャア」に譲渡。
マハのヘリコプター追跡を振り切りホンコン島を脱出し、とある小さな島で恋人の「エヴァリー・キー」を降ろす。
アフランシが「ガイア・ギアα」に乗り換えた後は「メッサー・メット」が搭乗しメタトロンの主力として活躍するも、ホンコン・マハの新型機「ギッズ・ギース」との戦いで中破。
旧式という事もあり修理できず放置されていたが、「ジョー・スレン」が「クリシュナ・パンデント」の捜索するため独断で出撃した際に「ギッズ・ギース」と遭遇し交戦するもビームでコクピットを撃たれ撃墜されてしまう。
ゾーリン・ソール(改修後)
出典元:gunpla-beginning.com
型式番号 | RX-110 |
全高 | 20.8m |
本体重量 | 26.8t |
全備重量 | 60.2t |
装甲材質 | ガンダリウム・コンポジット |
ジェネレーター出力 | 5200kw |
総推力 | 68000kg |
センサー有効半径 | 18000m |
武装 | ロング・フィンファンネル、ゾーリンファンネル、ファンネルミサイル、Pak43A エレクトロ・ケミカルガン、ビームライフル、ビームサーベル、頭部60mmバルカン砲、シールド |
搭乗者 | アフランシ・シャア、メッサー・メット、ジョー・スレン |
第5世代モビルスーツの感想
第5世代モビルスーツの特徴と登場機について紹介しました。
今までは小説やゲームでしか知る機会の無かった「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」ですが、最近は映画化もあって以前よりも作品について認知されてきた様に思います。
個人的にもガンダムに興味を持ち始めた頃は第4世代モビルスーツまでしか知らなかったのですが、作品の映像化に伴って「Ξガンダム」「ペーネロペー」などにも興味を持った感じです。
ミノフスキークラフト搭載機に関しては「サイコガンダム」が既に存在していますが、「サイコガンダム」に関しては可変モビルアーマーという扱いなので第5世代には分類されないとの事です。
ちなみに「機動戦士ガンダム F91」では登場MSが空中戦を展開していましたが、F91やビギナギナにミノフスキークラフトが搭載されているかについては正式な設定が存在しない様です。
既に旧式のジェガンもコロニー内で飛行していますが、重量やスラスター推力は第二次ネオジオン抗争の時と同じくらいなので、果たしてどういう仕組みで動いているのか不明です。
第二次ネオジオン抗争の時には既に空中戦が可能なレベルまでにMSが進化していたのか気になりますが、どちらにせよ第5世代のミノフスキークラフト搭載によりスラスター推力を100パーセント移動のために使用して高速飛行が可能になったという点では意味がある進化だと思います。